とくになし

近頃は何をしているか。
決まり切っている。仕事である。
基本的に日中〜夜は日銭を稼ぐための仕事時間であり、および深夜になれば不安(将来、リテイク、メタボリックその他の不安)を抱えながらの執筆作業である。
マグマフィライト!(火成岩熔融体からのみ形成することができる鉱物)(特に意味はない)


巷では、承認欲求をこじらせた作家についての話頭が流行っていると聞き及んだ。
たとえ著書を何百万部売上げたベストセラー作家であろうと、孤独は、不幸な魂による深淵への招請は避けられないのだと叫ぶ。
尤もなことである。


――承認欲求。
成る程、私にもそれが無いと言えば嘘になる。
というより、創作をして発表する者であれば大なり小なり、それは在るものであろう。
酸素を吸わずに生きる人間がいないように、承認欲求なくして生きる創作者もまた存在しない。
だが――
近頃実感するのだが、予想はついていたが、それを仕事にまでしようとなるとやはりまともな神経、並大抵の承認欲求では務まらないのだ。
一個人が対するは、何千、何万という単位の毀誉褒貶。多勢に無勢。32人のフィンランド軍対4000人のソ連軍。時には不合理かつ不条理な人格への批判さえも唯々諾々と享受しなければならない。
それだけではなく、非検閲がモットーのワールド・ワイド・ウェブにはしばしば剥き出しの悪意も散見される。
それを見る度に私は「あ〜成る程! 成る程成る程悪意成る程〜!」
と方向性を間違ったアダルトビデオ女優のように絶叫しながらキルゼムオール行為に及びそうな予感さえしてしまう。


承認欲求を満たせば満たそうとするほどに悪意の泥濘に嵌る。
創作は地獄だ。
なら、どう抗していけばいい。
簡単だ。
ポイントは無我、である。無意識ではない。
ソフト且つファジー且つニュートラルなゾーンに自らを落とし込む。
全ての評価を他人のことのように、「あらあらうふふ」と零れ出る悪意を受け流し、見ないように見、知らないように十全を知るのである。
その代わり、援軍も期待できない。なにしろ君は存在しない存在<ノーウェア・マン>なのだから。
結局、修羅の道だ。
だが、それが出来れば、きっとこの難儀な世界でもサヴァイブすることが可能だろう。
果てしなき承認を欲求する君に、幸多からんことを。


ちなみにこの文は構成とか考えずに思いつきだけで書いた。ツッコミは無用である。