第3回MF文庫J evoに参加しました(短編『生存、無理です☆』セルフライナーノーツ)

MF文庫J evoというプロ作家の集まる短編コンペがありまして、砂義出雲もその第3回に参加しました。『生存、無理です☆』(正式タイトル:『生存、無理です☆ 闇川さんは地雷系のふりをしている。』)という書き下ろし新作短編が掲載されています。

 

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9/30まで読者投票も受付中です。

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この読者投票で高評価を得ることができれば長編として書籍化できます。PV数とかも関わってくるみたいなので、よろしければお読みいただいて、さらに面白ければ読者投票していただけると、一人の作家生命が強めに助かります。

よろしくお願いします!

 

 

なお、以下は本編をお読みいただいたという体で、今回の短編のセルフライナーノーツでも書きます。WEB掲載だとあとがきもないし。本編読了後に背景が気になる方だけついでに読んでください。

 

本作執筆のきっかけは、evo参加の打診をいただいてから手持ち企画を漁っていたことに始まるわけですが、ふと、自分の中でくすぶっていたメンタルヘルス題材の作品を書きたいという気持ちが湧いたことにあります。

時代的にも、ニーディーガールなんちゃらみたいなゲームも売れたし、そろそろ行けるんじゃない、機熟? みたいな。evoなら割と尖った企画でも通るらしいし。

そもそも田中ロミオ先生で育ってsyrup16gをこよなく愛する作家がメンタルヘルス問題系女子書きたくない瞬間があったと思うか?

ゼロ年代の残滓で白米食べて生きてるんですよこちとら!

本当のところ『隣ダ天』でも割と本気でヒロインにトー横でダベってる設定を提案していたのは内緒だ。

 

そんなわけで最初に提出した企画書は『クラスメイト全員が病んでる教室で僕と闇川さんだけが病んでるふりをしている』という感じで、今よりも学園要素とメンヘラ要素が強いものでした。隔離病棟みたいな教室でフェイクメンヘラして生きづらさを感じている男女の葛藤がメイン。

 

それで、実際に軽い初稿まで書いてはみたんですが……

まあ、重くなりすぎたんですわな。

今公開されてるやつの数倍ぐらい、キャラクターの病状も、人数も、作中で起きる事件も、帰結もヘビーになってしまいました。闇がどろどろ出ちゃいました☆

さすがにこれは掲載きついかも……という話になって、大胆に手直しして作ったのがほぼ現在の『生存、無理です☆』になります。

まず設定を高校のクラスじゃなくてコンカフェとかにして登場人物を数人に整理。病状も緩和。(みんなが楽しく読む小説にはハムみたいな腕の女子は出ない!)ヒロインもできるだけ地雷系女子の可愛いとこだけ抽出しました。

結果的として、不特定多数の人が読んで不快にならないならこのあたりなのかなーと納得しているのでよかったです。

 

『生存、無理です☆』の根底にあるメッセージは、生きづらさを抱える人へのエール(とにかく居場所を見つけて生き延びようぜ)であると同時に、「つらさというものは人それぞれなのだから、どんな人の死にたみも軽視されるべきではない」という考えでもあります。

なので、学園設定からコンカフェ設定になったことで学生以外のキャラも入れられたのはよかった。

四十代無職くん周りのこの辺の台詞だいぶ好き。

「しにたみ吐き出す~!」

 

弱者男性の救いがここにあるよ。

ここ書けてすごいよかったなと思った。

個人的にはタイトル『生存、無理です☆』もわりと気に入ってます。主観によって現れる生きづらさをユーモアで乗り越える感じで。

ということで、もしevoで優勝できなくてもまあ僕しか書けないものは書けたと思うのでよかったな~と言いながら、もっと書きたい気持ちももちろんあるので投票してくれると大変嬉しいですね。よろしゃす!

 

あと本作とは関係ないのですが、今拙作『天網炎上カグツチ』の10周年記念短編というものを個人的にカクヨムで連載してるところなんですが、カグツチは書く時にいつもデビルマンを読んだりして人間のことが十分嫌いになってから書くので筆がとても重くなります。そんなわけでちょっと止まってますが、自分のペースで完成させたらそれはそれで改めてブログ記事書くのでよろしくお願いします……。

それでは、また。