人類は衰退しました3巻 ネタバレ極力なしレビュー

人類は衰退しました 3 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました 3 (ガガガ文庫)

至福。
2巻は1巻より面白かった。と思ってたら、3巻は、もっとだった。
寝る前にちょっと読もうと思ったのに、本を読む手を止められない。結局徹夜して、次の日のバイトに遅刻してしまいました。これは危険だ。
1巻のあとがきで「金太郎飴のように何巻でも続けられる」と言っていたにも関わらず、まったくの繰り返し、マンネリを感じさせることはありません。むしろゲームでも、作品ごとに作風、文体を変幻自在に使い分けるロミオ先生らしく、各巻はそれぞれ定められた異なるコンセプトに沿って書かれているように思えます。
1巻が「ほのぼの癒し系ファンタジー」、2巻が「ワンダー小道具SF&時間移動SF」だとすれば、さしずめ3巻は「ダンジョンRPG小説」。
階層深きダンジョンを潜っていき、HPとMPは既に摩耗間近。
セーブもしてない。死んだら数時間が無駄になる。このダンジョンを果たして生きて帰ることが出来るのだろうか。
昔のRPGが好きだった人なら、そんなドキドキを味わったことがあると思います。
今巻にあるのは、あのドキドキそのもの。
道を誤ったり、アイテムを取り、モンスターを倒し、仲間を増やし、ラスボスと戦い。
立て板に水を流すがごとく、行雲流水な物語の津波はあなたは手に汗握らせること間違いなしです。
そして、何より今回は、ロミオ節の「笑い」が充実しています。
ドッカンとくるような笑いではなく、こよりのようなもので、脇を執拗にこちょこちょやられているような……。細かい小ネタの一つ一つに「ひあっ、はあっ、らめぇ」と悶えられます。ロミオ先生のテクニックに終始吹いたりニヤニヤしっぱなしでしたよ。
妖精さんが出てくると相変わらず癒され、新キャラも魅力的。147Pの孫娘のイラストは無駄に萌える。
最後に明かされるロミオ先生ならではの設定には唸らされること必至! 頭の上に「!」が3つぐらいつくような快楽に満ちた驚愕、少量の切なさ。ああこれロミオ先生だ。
人類衰退に至る謎もちょっとだけ明かされる……のかな? この設定も後々また出てきそうですね。個人的には「最果てのイマ」と繋がってて欲しかった。


難点があるとすれば、今回は中編二話でなく、長編一話形式なので呼吸が長い、その辺でちょっとだれるとか言う人もいるかも。しかし先が気になる展開だし、物語をロールプレイングしながら楽しめる感覚がある人なら、問題ないと思います。今巻のコンセプトに基づき、練り込まれたプロットというより、クエストを楽しんでくださいね。ごちそうさまぁっ♪