岸田劉生/ばけものばなし

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青空文庫新入荷。麗子微笑図の岸田劉生先生による化け物講義。すごく面白かった。
興味深い所を抜き出し。

大てい妖怪談を好んで語る人は、一、多少嘘つき、一、反省の足らぬ人、一、他人の中にあって談ずるに、自己を持す意力の弱い人、一、甚だしく遊戯的気分の多い人、一、話の興味のために自己を偽る人、一、甚だしく対他的興味の強い人、一、芝居気のある人、一括していえば性格の弱い人が多いと思える。つまり才子風の人が多いと思う。

……むう。(自己を鑑み中) 鋭いな。

私は御化けというものは民族的、または人類の一種の芸術的な作品、一種の詩だと前にも述べたが、一つ一つの怪談に表われている様々な技巧や、様々な空想や、実感やらを味う事がすきなのだ。

おいらもだぜ。

日本の妖怪には切りはなされた肢体(したい)を非常に実想的にとりあつかってある。これらも「病的感」「不具感」である。
 ともかくも日本妖怪の味は概して、生々とした、病的感、癈頽(はいたい)した生きものの感じを持つ、或るものは癩(らい)病を思い出すように鼻などがなくつるりとしている。

ほうほう、たしかにたしかに。面白い見方だなあ。
それにしてもこれだけ短い文に、良くまとまってる。
そして語り口がうまい。実体験を交えて語るから、読んでて飽きないね。
インデックス作っておこう。


岸田劉生/ばけものばなし

  • 君子は乱神怪力を語らず
  • 妖怪と幽霊の区別
  • 妖怪の存否とその起元
  • 幽霊に足のない訳
    • 附 妖怪に足のある訳
  • 一つ目小僧の味
  • 日本妖怪の病的感
  • 狐にばかされるという事の合理的の解釈
    • 附 狐附きの考
  • 鬼について


こういう観点をもっと掘り下げたい人は、池田弥三郎先生(幽霊)、小松和彦先生(狐附き)、馬場あき子先生(鬼)あたりの著作を参照するといいと思います。


撞木娘カワユス