今日読んだもの 葛西善蔵をいくつか

太宰先生も大好き葛西善蔵
 青空文庫 図書カード:哀しき父 (葛西善蔵)
だいたい善蔵は私小説作家ですが、この作品は最後の段落、まったく血液の描写をしないで喀血を表現してるあたりに感嘆。小説とは写実だけが描写ではないのだよ!

作品について: 1922(大正11)年発表の処女作品である。場末の下宿屋で孤独な作家である父が、生活苦のために郷里青森へ帰した子への思いを描いた短編小説である。子と同居したときに買っていた金魚を街中で見かけたときのわが子への思いの哀切、梅雨時の崖下の陰鬱な下宿屋、病気に苦しむ下宿人、貧困な学生、買春する男と買春する近所の主婦、病院へ担ぎ出される瀕死の下宿人、挙句には自分の喀血など、自己の周辺が雰囲気を持って描き出される。ただ、私小説とは言いながら、最後の喀血は虚構という。(林田清明

虚構かよ! まあ、文学なんか虚構でなんぼの世界なんですがー。
最後だけ無駄に虚構入れたってのも、ああ、善蔵さんなんか筆が乗っちゃったんだなあ、みたいな感じでにやにやできます。なんたる作家萌え。いや、個人的に善蔵先生の写真見る限り、外見では全く萌えないのですが……(何様だよ! しぬれ!