田中ロミオファンの好きな作家/作品は?

http://d.hatena.ne.jp/crow_henmi/20061021


id:crow_henmiさんがとんでもない事を始めたよ!
鬼畜のように衒学な田中ロミオ氏のファンが読んでいる小説というのはどんなものなのか?
を調べてみようというのです。確かに気になる。
で、id:y_kamishiroさんから直接のご指名を貰ってしまったので、応えます。
数え上げてみて、きりが良いので10冊に絞りました。
しかし、まだ読書量も誇れるものではなく、ジャンルも偏っている事に忸怩たる思い。
「ロミオ的」な作品と言うよりも単純に僕という人間の物差しにしかなってない気が。

id:sunagiの選ぶ心の十冊

  • 魍魎の匣京極夏彦
    • もう、生涯最高の一冊。京極さんには人生ねじ曲げられてます、僕の。一応ミステリーに分類されるんですが、そんなの関係ない。「京極堂シリーズ」というシリーズ物の2作目にあたる作品で、シリーズ1作目の『姑獲鳥の夏』も相当ヤバくて、この10冊に入れていいぐらいの作品なんですが、2作目の『魍魎の匣』は人智を超越するほど面白いのでこちらを入れました。単純に面白く、また耽美、猟奇、萌えもあるし、みっしりです。
  • 『火刑法廷』ジョン・ディクスン・カー
    • 海外ミステリというと、クリスティとかクイーンとか、そんな辺りが有名ですが、このカーという人は「密室物しか書かない」事で有名なミステリ作家です。しかし、カーの本質はそんな所に無い、というか僕が惹かれるのはそんな所ではありません。オカルトです。カーの作品はオカルトまみれです。悪魔崇拝魔女裁判、黒魔術、狼憑き……そして、この『火刑法廷』、遂にカーのオカルト趣味がミステリを逸脱してしまった怪作です。
  • 家畜人ヤプー沼正三
    • これは最初に読んだ時作者の脳内構造を疑いました。よっぽどの天才か変態です。究極のマゾヒズム。人体改造。奴隷として最適な身体にって。
  • 『サバイバー』チャック・パラニューク
    • 以前にも述べましたが、まあ一応。この死生観。文体のリズム。豊富な無駄知識。ユーモアセンス。先の読めないストーリー展開。そして、非モテ童貞の物語。個人的にパラニュークで一番好きです。てか、パラニュークは全部ヤバいんですが。
  • 人間失格太宰治
    • 日本人なら今さら言わずもがなでしょう。僕は太宰はほぼ全作読んでいて、太宰の本質は短編(これ皆さん読んでください。太宰の短編はネタ、笑い満載です)にこそあると思うのですが、やっぱり深淵を覗くとなるとこれしか有り得ない。有り得なくなってしまう。太宰治とは、文学青年が一度は罹るはしかのようなものらしいです。しかし、不思議な事に僕のはしかは十年近く続いています。
  • ドグラマグラ夢野久作
    • いやあ……流石にね……こんなに濃い小説は世界でも類を見ないです……『家畜人ヤプー』がやや追随するぐらいかな。もう、人間の精神とはなんぞや、正常とはなんぞやが、ぐらぐら揺らいでくる。横溝正史は読んで自殺しかけたらしいです。
  • 『異邦の騎士』島田荘司
    • またミステリですか……! しかし生涯で一番号泣した本です。泣けます。泣きゲー好きな人には是非。事前に御手洗シリーズ(お薦め、『占星術殺人事件』)を最低一冊読んでおくことが必須です。
  • 『若きウェルテルの悩み』ゲーテ
    • 太宰と同じ。青年期のはしか、第二弾。そしてやっぱり、継続中。
  • 日本霊異記
    • 日本最古の仏教説話集。古典と思って侮るなかれ! めちゃめちゃ面白いんです。マジです。雷を捕まえるとか、その発想は無かったわ。狐子を娶る話とか、萌えです。奈良時代から日本人が萌えに依存していた事実が判ります。
  • 『図説 食人全書』マルタン・モネスティエ
    • これは、これが一冊あればカニバリズムの事は完全に網羅できるほどの素晴らしい本です。食人研究の決定版! グロにも程があるので普通の人にはお勧めしませんが。

以上10冊。なんだか、こうして見ると、いや、結構ロミオ的なものばかりかもしれない。