この週末は珍しく出かけたり人と飲んだりしたので、久々にブログでも書ける書こうと思っていたら、突然の訃報が舞い込んできた。
まだショックで、身体の震えと涙が止まらない。
ご本人のブログで、闘病中な事は知っていたから覚悟はできていたとは言え、この現実を受け入れるにはあまりに唐突で、時間が足りない。
僕が伊藤さんの本が好きだったのは、アイデンティティSFというただでさえ愛してやまないジャンルの中で、さらにそこから生まれる「未来」を見つめている作家だからだった。
そして、伊藤さんには、まだ見せてほしい未来が、沢山あった。
ただ無念で、ならない。
『ハーモニー』を改めて繙いて見る。一行一節から、当時は気付かなかった氏の魂のメッセージが立ち昇ってきて、涙が止まらなくなった。
すべて、ではない。だが、切り取った断面は確かにここにある。永遠に遺っていくのだ。
* * *
伊藤計劃さんへ。
あなたが魂を削って遺してくれた本と思想は、私たちの血肉になっていつまでも生き続けていきます。
また、勝手な私考ですが、サイバーパンクをこよなく愛したあなたも、そのようにミームが拡散していく事を望んで小説を書いていたのではないかと思っています。
これから先、私があなたの魂の一部をお借りすることをお許しください。
繰り返す潮のように、あなたの本を幾度となく読み返し、共に生きさせて頂きます。
難病と闘病しつつも、この世に素晴らしい作品を残してくれてありがとうございました。
お疲れ様でした。安らかにお眠りください。
ご冥福をお祈りしています。
- 作者: 伊藤計劃
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『天国なるものがこの世のどこかにあるとしたら。
完全な何かに人類が触れることができるとしたら。
おそらく、「進化」というその場しのぎの集積から出発した継ぎ接ぎの脊椎動物としては、これこそが望みうる最高に天国に近い状態なのだろう。』
氏の遺作。こんなことは言いたくなかったが、遺作として、完璧すぎる作品になってしまった。興味を持った方は是非一度読んでみてください。