続・殺戮のジャンゴ -地獄の賞金首-

そういえばだいぶ前にクリアしたんだった。感想を書いてなかった。
すげえよかった。完璧。
ロミオさんが、風呂敷が大きすぎてしばしば畳めなくなってしまう人だとしたら(失礼)、
虚淵さんは、必要な大きさの風呂敷を、プレス機にかけたみたいに綺麗に畳む人だと思います。
職人として完璧に仕事を果たし、なおかつ自分のやりたい事を完全に出来るというのは、シナリオライターとして素直に頭が下がります。
マカロニウエスタンで、SFで、エロエロで、終盤の展開のカタルシスには鳥肌が立って。18禁ゲームでなければ表現できないこの種の作品に出会う度に幸せを感じる。


そして、やっぱり虚淵さんテキストです。虚淵さんの文章が巧すぎる。
中でも好きなシーンというのがあって、砂漠を放浪しながら夕暮れを眺めるシーンなのですが、

 黄昏時。
 空を、大地を、見渡す限りに燃えるような茜に染め上げながら、
セルジオ二重恒星の日輪は地平線の彼方へと沈んでいく。
 眺める者に、おのれの矮小さを痛感させずにはおかない砂漠での落日。
 惑星スィートウォーターでは、さして珍しくもない毎日の景観だ。
 そんな紅蓮の空の果てを、銀色にきらめく小さな輝点が、無数に列を成して横切っていく。

ここの文章かっこよすぎる。
六行掛けて表現しているのは「日没」なのですが、これだけ重厚に描写しても語彙がかぶっていない事に気付くと思います。これが普通のエロゲだったら「日が暮れた」だけで済ます所ですよ。まあ、という事は、それだけこういう描写をしてたら普通のユーザーには売れないというこ(ry


沙耶の唄」に比べると、エッジの鋭さがやや落ちるというか、耽美や狂気が足りない気がして(というか、「沙耶」が異常な作品だったとは言えますが)あの作品の評価を超える事はなかったですが、それでも、この作品には、鈍器で殴って殺されるような、そんな鈍い破壊力を感じました。
あと絵が正直あまり好みではなかったのがあれですね。いや、しかし期待には十二分に応えてくれる作品でした。満足です。