あの、素晴らしい  をもう一度/再装版

http://www.anos.jp/anos1/anos1.htm

当ブログでも「そう、あたしたちはこんなにも理不尽な世界に生きているのだらよ」シリーズなどをレビューしたり、sunagi個人でも解説本に考察文を寄稿したりしている自転車創業さんのゲーム最新作です。


最新作と言えど、実は、自転車創業(よりも前の名前だったりするぐらい)最初の作品のリメイク版のリメイク版みたいなものです。なんですが、一回目のリメイク版ですら長らく入手困難な状況が続いていたので、待ち望んでいた人も多い再リメイクでした。何より、自転車創業の一連の作品は全て世界観を共有しているので、ファンとして完全に楽しむならば避けては通れない作品でもあります。とりあえずこの作品が誰でも入手しやすくなった事に感謝。


自分は、旧版の時にもうプレイ済みだった人間なのですが、細部を忘れてたり変わってたりなどで、結局6時間弱ぐらいかかってクリア。あ、自転車創業のゲームは「正解の選択肢をネットで見ない」のがゲームをプレイする上で完全に正しいので個人差はありますが、「あのすば」に限ってはそんなに長いゲームではないです。
でも改めてやってみると、分量が長くない分だけ、メッセージ性というか初期衝動は自転車創業ゲーの中でも一番みっしりと凝縮されてる気がします。
特にまだループものが流行する以前の1999年に「人は間違ったらやり直すべきだ。だが繰り返すべきじゃない」の境地に達していたのは感動すら憶えますね。(『感動』を憶える)
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カチッ


『過去』の欠けた男と『未来』の欠けた少女が旅をする、っていう設定だけで惹かれるものがある人は、とりあえずこの機会に触れてみてはどうでしょうか。ラストの美しさと切なさに関しては、自転車創業作品の中でも群を抜いていると思います。今回演出強化されてさらにグッときたなー、素晴らしかった。
あと、自転車創業ゲーは『ギャルゲーだと思ってプレイして「騙された!」と言わせる』ことを目的としている(マニュアルより)のに、玉岡かがりさんの描くヒロインは可愛すぎるからもうそのフレーズ使えないじゃないですか。どうしてくれる! 歓迎ですけど。


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あと、余談。それに関してではなくてというか全く関さないわけではないんですが、「あのすば」再装版発売でそろそろ頃合がよさそうかな、と思ったので某所の夏コミ発行シナリオライター評論集に自転車創業&かざみみかぜ。さんのゲームを全部総合した評論を一本書くことにしました。
自分の信条として、一応まだ自分のことを実作者だと思っているので、できるだけ評論メインの方には行きたくないとは思っているのですが(批評精神があれば実作しようぜ、の気持ち)、今回を逃したら当分かざみみかぜ。さんについて語るタイミングもなさそうだというのと、誰もそこに手をつけようとしてないのに怒りすら覚えたことと、知り合いが沢山集まっててあまりにけまらしかったことにより(3つ目が理由の8割)、まあいいかって感じで書きます。とはいえ、自分の自尊心を満たすための評論というのが自分の一番行きたくない所なので、愛を持ってやります。その辺は空気読んだり読まなかったり、のらりくらりと躱そうと思っています。
まあそんなのがあったり。ばったり。