シネマすなぎ2016

生きております
あけおめござます
例年の映画について語るニコ生です
2017.2.3(金) 26:00〜予定

http://live.nicovideo.jp/watch/lv289127480


今年はゲームの話とかをさらっとして、1時間半以内に収めるぞー
ランク王国
例年以上にグダグダになるかもしれませんが、
タイムシフト可なのでご笑納を
ご笑納を

今年も頑張ります

にっき さいきんのぼく

ひっそり32歳になった。
日常は停滞しつつ、各方面に色々うまくいかないし友達はどんどんいなくなっている。
目も内臓も身体のボロボロさ加減はより騙し騙しだ。
『この夏、猫騙しが上手になってもっと技のデパートになる!』(女性ファッション誌風の箴言
そしてTwitterというSNSにも限界を感じつつある。
というか人類が結構きつい。
憂いてもどうにもならないけれど、人類全体の民度が低くなっている気がしてならない。
どうですこれがネットチルドレン世代の末路ですよHAHAHAHA。
これは内緒なんですけど、たぶんこれから「暴力」っていう行為が世間でもっと流行ると思います。
知らないですか、暴力。全部どうでもよくなっちゃうものなんですけど。
暴力という行為について人類は再評価する段階に来ているのかもしれません。
でも僕は、堪え忍んで地道に頑張っていこうと思います。
ネガテェーブだけどディプレッション状態にはないのでまだいけます。
どじょう鍋の上で冷たい豆腐をまだ探していきます!


最近やったゲームは、少し古いけど「ニーアレプリカント」をやった。
がんばって数十時間かけて武器コンプして全エンドを観た。鬱々しくて面白かった。
ちなみに最後の仕掛けについてはネタバレを聞いていた(それで興味沸いたのもあったのだが)。
それでもその決断は、思ったより胃にくるショックで……。
まあ、深くは言わないけど現実に干渉してくる系のゲームは全部好きです。
続編も楽しみです。

今後のゲーム、しばらくは「ZERO ESCAPE刻のジレンマ」(極限脱出シリーズ完結!楽しみだなあ)を最優先でやって、
積んでる「逆転裁判6」やsteamサマーセールで買った「undertale」、「her story」、「ライフイズストレンジ」あたりを崩していくつもり。
ゲームはまだまだ楽しいのがいっぱいある。でもPSVRを予約できなかったことはおこだよ。


映画だと、「貞子vs伽椰子」がけっこう良かった。俗っぽい宣伝の仕方はどうかと思えど、二大レジェンドのマッチアップをvsの瞬間まで盛り上げる演出も見事、白石監督らしいオタク好きする霊能力者も入って、こんなんホラー観られるオタク大喜びやんって映画でした。劇場出たぼくニッコニコ! リングも呪怨もなんとなくの知識で楽しめると思うので、おすすめだよ。
あと暴力について考えさせる「ディストラクション・ベイビーズ」と「ヒメアノ〜ル」もよかった。
今年、邦画いいですよね。実は今年は例年に比べて映画観られてないのだけど、年末を待たずに映画ニコ生とかぐだぐだしたいとぼんやり考えるだけは考えてます。もしやれるなら告知します。やれなかったらやれなかったんだなと思ってください。来月はー、シン・ゴジラ! たのしみです!

最近やったゲームの話(Portalシリーズ、LIFELINE、ドラクエビルダーズ)

最近やったゲームの話。
年末にはFallout4をやりこみまくっていたのだが、とりあえず今年に入ってから分のことを。
お正月にsteamのホリデーセールでゲームをけっこう買った。
ゲームが一本数百円単位になるsteamセールはお腹パンパンの人を押さえつけて水をガンガン飲ませるようだ。
そんないろいろゲームを抓んだりクリアしたりした中で一番良かったのが、
Portal」シリーズ(「Portal」「Portal2」の二作)だ。
[価格改定]ポータル1&2パック【日本語版】


1の発売が2007年、2の発売が2011年、と何年も経っていて、当時からゲーム・オブ・ザ・イヤー的な有名な賞も沢山とっているので
PCゲームユーザーなら知る人は知っている作品(むしろ何をいまさら感ある)だと思う。
その二作合わせたバンドル版をセール価格500円以下で買った。
ソニックブラストマンが殴りにくるレベルの価格破壊だ。


ジャンル的にはFPS+パズルゲームということになるのだろう。
主観視点で3D空間を歩き回って、ポータルガンという特殊な銃を撃つ。
すると、青のリングが壁にできる。今度は右クリックで銃を撃つと、オレンジのリングが壁にできる。
この青のリングとオレンジのリングが、「キテレツ大百科」の天狗の抜け穴のように繋がるのだ。
そのリングを通ったり通したりして、各ステージのゴールまで辿り着くゲームだ。
日本人にはキテレツ大百科のおかげで説明が実にスムーズなので実に良かった。サンキューF先生。
で、このパズル部分、ちょっと頭を捻れば必ず解けるレベルの絶妙な難易度で実に良い。
3Dゼルダの一番楽しいところが徒党を成して訪れる感じ。
近年のパズルゲーだとvitaでやっていた「FEZ」(二次元スクロールの世界を四方に回してパズルを解くゲーム)もアイデアが白眉でとても楽しんだのだが、
正直、FEZはいくつかの謎は「理不尽」としか言えないものも結構あった。文字解読あたりは考古学者の気持ちになれて楽しかったけれど、英語圏のことわざを元にした謎とかがあってな。そんなのわかるかいな。
よって、Portalの頭を使えば解ける謎解きは素晴らしい。パズルゲームかくあるべし。
そしてPortalの魅力はパズル部分だけでない。
なんてったってストーリーだ。それ以上にキャラクターだ。
ストーリーに関しては、Portal1はまだ他のゲームのおまけ扱いのゲームだったのでそこまで凝ったストーリーでもないのだが、
2はほんと素晴らしい。実に見事なシーソーゲーム脚本になっていて、それらの出来事すべてがキャラクターをさらに引き立たせるイベントであり、話が進むほどにキャラが好きになる。見事な脚本です。(すでに賞をさんざん獲ったような作品に言うことじゃないかもだけど)
そして、キャラで言うとぶっちぎりで最萌えなのが、
GLaDOS(グラドス)という、主人公に謎解きを提供してくる人工知能だ。
Portal 2 GladOS Soundboard
このGLaDOSたんが、実に可愛い。人間臭く、なにより至高のツンデレなのだ。
外国人の一部はこのGLaDOSたんでツンデレという概念を知ったと言われている。
GLaDOSたんは人気なので「パシフィック・リム」のAIにも逆輸入されたりした。
そして、プレイした人なら同意して貰えると思うが、Portal1も2も「エンディングソング」が最高でな。
歌詞がネタバレなのでYoutubeを貼ったりはしないけれど、
く・そ・か・わ! GLaDOSたん!
可愛いというよりなんかもう泣くし、愛おしい……?ですね。
ほんと、パズルの難易度が絶妙なのであと1ステージクリアしよう、って感じでやめどきはないし、
クリアした後もキャラへの愛しさが頭に残っているし、
Portalシリーズ、くっそ面白かったですよ。推定プレイ時間、1は4時間。2は10時間ぐらい。ストーリーは完全に繋がっているので
順番にやること。日本語字幕になってなかったらコンフィグからいじること。
セールの度に500円以下の値段になるっぽいので買ってない人は是非。おすすめ。


   *  *  *


お正月からsteamゲーと平行してスマホでやっていたのが、
「Lifeline」というアプリだ。このゲームは小品(定価で100円ちょっと)なのだが……。

Lifeline
Lifeline
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3 Minute Games, LLC (2016-01-15)
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このアプリには、グラフィックというものが存在しない。
しかし、SFゲームである。
プレイヤーは、宇宙のとある惑星に遭難したという宇宙飛行士(名前はタイラー)からのメッセージをたまたまスマホで受信してしまい、
それに対して返答やアドバイスを選択肢から選んで、送信する。
すると、それを参考に行動したタイラーくんからのレスポンスがあるというメールゲーム?のようなゲームだ。
前にニワンゴがこういうのやってた。
実質、中身はゲームブックだ。
だけど、これの特徴はタイラーくんのリアクションもリアルタイムだということ。
タイラーくんにアドバイスをして、「わかった、じゃあ1時間後に結果を報告するよ」
という時には、本当に1時間後にスマホに連絡がくる。
この1時間の間に、タイラーくんは果たして上手くいったのだろうか、というドキドキを感じられて、
キャラクターの実在性を強く感じることができる。
スマホならではのゲームですね。そんなひっちゃきになってやるタイプのゲームではない。
たぶん、今映画やってる「オデッセイ」の原作の「火星の人」からの影響とか受けてこのゲームは作られてると思う。
「火星の人」のNASAパート体感ゲームです。
終盤にはなかなかB級ホラーじみた面白い展開にもなっていって良かった。
少し残念なのはマルチエンドだけど大筋は一本道っぽいということ。欲を言うならかまいたちの夜風に全然展開も変わっていったらよかったかな。
続編も出てるので、いずれやります。


   *  *  *


そして最後に現在進行形でハマっているのが、「ドラゴンクエストビルダーズ」だ。PS4でやってる。


もーう! ビルダーズめっちゃ面白いぞ!


最初にゲームが発表された時、画面を見て「マインクラフト」やんけ、と思った。
ただ、マインクラフトというゲームは自由すぎてとっつきづらく、何をしていいのか持て余す感じが正直あった。
機械回路なんかはもう本気でできる人しかできないと思う。
一方、このビルダーズはドラクエらしいユーモアのあるストーリーとキャラの上に、あれをやれ、これをやれと指示してくれる。
「着替えがしたいから衣装部屋を作って」みたいな。
その上で、どんな衣装部屋を作るかは自分の裁量に委ねられている。どんな街を作るか思い通り。
この、絶妙な自由度! めっちゃいい!
完全に日本人向けであり、一見マインクラフトっぽく見えるのは、かつて堀井さんが「ウィザードリィ」を「ドラクエ」に変換したようなことかと納得できた。
サンドボックスというジャンル。その導入として、完璧な初心者向けのアレンジがなされている。
「木材を作って」→木材できる→木工製品が作れるようになる→「桐箪笥を作って」
みたいな、できることが徐々に増えていく感じのループはこれ以上ないぐらいに全能感を味わわせてくれる。
あと一章で女の子が寝取られる(自分の使っていたベッドをおっさんに取られる)ことが話題になっているが、きちんと対策すれば
そのようなことは起きない。自分は体験版での寝取られ体験から、きちんと対策を立てたので問題もなかった。
うちのピリンちゃんは! 綺麗な身体です!
先日、数十時間ぐらいかけて、ようやくストーリー部分だけは終わったのだが。
その後は、「フリービルドモード」という、よりマインクラフトに近いモードをやりこむつもりだ。
いわば、数十時間のチュートリアルがストーリーモードだった。
本当に一生やりこめそうで怖いです。欲を言えば、フリービルドモードは住人の反応が薄いので少し残念。
とか改良してほしい点はいっぱいあるんだけど、すべてめっちゃ楽しんでる上での不満点だ。
次作も余裕で買うと思う。
ドラクエビルダーズ、ほんとやめられないぐらい面白いぞ。
エロゲの広告風に言うなら、面白すぎるので、〆切間近だったり時間がない方は気を付けてください、やめられなくなってしまいます、だ。
清原のクスリみたいなもんだ。
清原、ねえ。清原、悲しいなあ。

シネマすなぎ2015は、1月22日金曜日深夜2時からです

シネマすなぎ2015


2016年1月22日(金)26:00〜


毎年恒例の、映画一年分語り倒すニコ生やります!
鑑賞全映画フラッシュレビューとか、普段言えないことのリミッター少し外してやる予定です。
個人的な告知とかもできたらします。
深夜ですが、タイムシフトも可ですので、なにとぞよろしくどうぞ。

コミックマーケット88、3日目『最果てのイマ』10周年記念小説本頒布します

※8/13追記 下記の本以外に、当日は合わせて無料ペーパーを希望者にのみ配布予定です。ペーパーも希望の方はお声かけくださいませ。
※8/13追記の追記 とらのあなさまでの委託予約も始まっております。会場にお越しになれない方などご利用ください。 http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0030/33/23/040030332337.html


暑くなってまいりましたね、溶けそうです。
ところで『最果てのイマ』という自他共に認める僕の愛してやまないゲームが、2015年8月12日、発売十周年を迎えます。
めでたい。なにしろ十年だよ。これはもう祭りだよ。最果てのイマ』祭りだよ!!!!
そこで、それを盛大に祝うために同人誌を作りました。
今年の夏コミ、コミックマーケット88の3日目にて頒布予定です。


サークル:フロウタリウム
頒布スペース:コミックマーケット88 3日目(日) 東ホ08-a
タイトル:『Node Of Farthest -the lost categories-』
装丁:文庫本(カバー・帯付き) 198P(口絵含む)
頒布予定価格:1000円

主な内容は僕が数年来コピー誌などで書いてきた『最果てのイマ』SS、「ぼくのかんがえたカテゴリー3,4」に、
大幅加筆修正+大量書き下ろしを加え、一冊の本として完成させたものになります。
いわば、発売から10年を経た今の時点での僕の『最果てのイマ』「考察成果」、その集大成となります。




そして、目玉企画として!!!!
巻末に関係者への最果てのイマ』10周年記念インタビューを敢行、掲載しました。
個人的な人脈を使いまくった形での特別企画となります。
最果てのイマ』プロデューサー・藤原将(藤原たすく)氏に、開発の裏話や、本編中の「謎」についてお伺いしました。

えー……このインタビューですが、ほんとすごいことになってます。
そもそも10年間ゲームについて考察し続けたインタビュアー(僕)が、ネタバレ全開で踏み込んでお聞きした結果、
絶対に他では聞けないインタビューになったと自負しています。
特に謎に包まれた「カテゴリー3,4」についてもばっちり尋ねたりしており、
最果てのイマ』考察に関して、10年目にして天動説がひっくり返る級の衝撃事項が掲載されたりしております。
(名目上は、公式ではない個人的インタビューとなります)


……そんな諸々を収録し、全編200P弱という気合い(と愛)を入れまくった本。
全国の『最果てのイマ』フリーク「イマラー」の方々には、是非マストバイな一品になっていると自負しております!
なお後日、少部数ですがとらのあなさんに委託予定もあります……が、そもそも全体でそんな刷り部数があるわけでもないので品切れはご容赦ください。
コミックマーケット3日目、東ホ08-aでお待ちしております。
なにとぞよろしくお願いいたします!

「ガガガんばるSSS集」、応募〆切は6月いっぱいです

カグツチ』の3巻を上梓した後、酷く消耗していた。
作家にとって、可愛い我が子を世界に産み落とす「出版」という行為は出産と同義だからである。
発音的にもそんなに違わないしな。
ある意味、世間様に恥部を晒すようなことを考えたら公開プレイでもある。
これでは処女懐胎と言えるはずもない。身も心も、野武士に荒らされる農村のように蹂躙され尽くした。
手折られる菜の花はやがて芽吹き、放埒な快楽に溺れることになった。そう、怠惰である。


それで、この二ヶ月くらい、何もしてない。
強いて言うなら、筋トレを二三日やって諦めたりもう一度立ち上がろうと思ったり葛藤していた。生卵飲めない。
スプラトゥーンが面白いよって世間の波に乗ってスプラトゥーンやったりもしていた。
ウデマエはBから上がらないものの、シューター武器が8割ぐらいいるガチマッチで近接武器使いを見ると余裕ぶっこいたりする大人になってしまった。
慢心は死である。
あ、あと夏コミに受かりまして(日曜日 東地区“ホ”ブロック−08a)、最果てのイマ10周年本を出すぞと意気込んでいるものの、色んな方面への気持ち的なスタートアップに失敗して「まぁいいか でもすごくつらくなるんだろうな」とかくるりの歌詞みたいになった。


何はともあれ充電ぼちぼち出来てきた(気がする)のでそろそろ頑張りたいです。
人間を(は)頑張らなきゃね。
お知らせです。

<ガガガんばるSSS集>
2015年3月〜6月に刊行されたガガガ文庫を5冊以上お買い上げの方全員に、
人気作家たちの書き下ろしSSが収録された冊子、「ガガガんばるSSS集」をプレゼント!
締切:2015年6月末日(当日消印有効)
賞品発送:2015年7月末ごろの予定

【参加予定作家陣】
赤城大空川岸殴魚さがら総、砂義出雲、田中ロミオ、ツカサ、平坂 読、水沢 夢、渡 航
http://gagagabunko.jp/information/index.html

なにか面白そうな企画に混ぜてもらえたので、ガガガ文庫さんの3〜6月刊を5冊というぶっちゃけ商業的なハードルを越すと、
僕もちょびっと書いたゴージャスでエクセレントな小冊子が貰えます。
砂義パートはもう原稿は提出したんで、よっぽどの嫌がらせかボトルネックか天変地異がなければ載ると思います。
カグツチのちょっとしたSSです。最初は顔面付近に危険球を投げようとしたら警告があったので、ボールの方を鉄球に変えてみました。
〆切がもう気が付いたら今月末なんですが、よろしければ。間に合えば。面子も豪華なので是非。


最近気になっているのはFF14の拡張パックです。
前のエオルゼアの時にもやってたんですが、それ辞めちゃった理由は、ちょっと匿名で頑張ってプレイ日記とか書いてたら
通りすがりの方のコメントに「文章お上手ですね!」っていただいて、「俺なにしてるんだろう」って一瞬思ってしまったからです。
今度は二の轍あんまり踏みたくないです。

あの頃「テキストサイト」を愛していたすべての人に捧げたいライトノベルがあります。『天網炎上カグツチ3』、本文一部公開。

こんにちは、ライトノベル作家の砂義出雲です。


私は『天網炎上カグツチ』というライトノベルのシリーズを書いておりまして、題材は「インターネット」の諸々となっております。
各方面でご好評いただいてます。ありがとうございます。
今週金曜日、その最新刊、3巻が発売になりました。

この作品、1巻ではネット炎上、2巻ではリベンジポルノ、デスブログ、承認欲求などを題材に取り上げてきましたが、
3巻でひとまず区切りをつけることにしまして、さしあたって締めに相応しい題材の一つとして、とある念願の題材を扱うことにしました。


その題材につきまして、内容をお伝えするのに言葉を尽くすより、本文を一部引用した方が早いかと思いまして、
私に著作権のある文章ですし、今回ここに内容の一部を抜粋して宣伝させていただきます。


以下、本作「第二話」、本編からすると「過去編」にあたり、「西暦2001年」が舞台になっている、冒頭部分になります。
そんなに長くもないのでよろしければお読みください。

天網炎上カグツチ3   カグツチ/GROUND ZERO』(抜粋)


 少年は時計を凝然と睨み付けたまま、ピクリとも動かない。
 その時が来るまであと、五分。やがて、短針は十一、長針は十二に重なり――。
「……回った!」
 午後十一時。『テレホーダイ』が始まる時間だ。
 少年は慣れた手つきで回線を電話機から引っこ抜き、モデムへと差し替える。


 当時、インターネットへの接続は電話回線を流用するのがまだ一般的だった。
 普通に使うと、接続料だけで三分十円。
 よって、電話回線の通話料金が定額になるその時間帯こそが、インターネットユーザーにとってのマジックアワーだったのだ。


 少年は逸る気持ちを抑えて、深呼吸してから『接続』ボタンにカーソルを合わせ、マウスをクリックする。
 そして、耳を澄ませて福音を聞く。
 自分を異世界に誘(いざな)う、魔法の旋律を。


 ポピピポピピポピポパ。ビーガガガポピーポピーウィンウィンウィンガガガガーガーガー。


 非日常感と、未来感と、期待が綯い交ぜになったような独特のパルス音。
 今夜もネットサーフィンの始まりである。


   *  *  *


 九十年代後半から○○年代前半ごろにかけて、この国にはテキストサイトという文化が存在した。
 当時はインターネットの回線速度がまだ貧弱で、画像を一枚表示するのにさえ膨大な時間がかかっていた。エロ画像を表示しようと思って数分放置して待ってたら、下半分が実はグロ画像になっていて腰を抜かす、みたいな悲喜劇が日常茶飯事だった。よって、ネット上でやり取りされる情報は自然とテキストベースになる。
 そのため、ネットで何かを表現しようとする者たちは、「歌ってみる」のでも「踊ってみる」のでも「ゲーム実況」でもなく、「文章」の力だけで人を魅了することを目指した。


 ホームページという文化は現在でも残っているが、その中でも特にテキストによる「芸」を中心に構成されたホームページ。それが『テキストサイト』だった。


 とりわけ二○○一年は、テキストサイト史においても重要な年であるといえる。
 この年、ネット界には、『魂侍』、『バーチャルネットアイドル・きゆ12歳』といった、カリスマ的人気を誇るテキストサイトが相次いで開設される。
 それはまるで、ビッグバンだった。あるいはカンブリア紀の生命大爆発のようだった。
 次々と彼らのスタイルを真似たテキストサイトが誕生し、人気を博していった。
 テキストサイト文化が一気に花開いたのだ。


 そして、ここに一人の少年がいる。
 一九八四年生まれで、娯楽も少ない地方に住まう高校生だった少年は、その洗礼を直撃で受けた。


 衝撃的だった。この世界の裏側には、別の価値観で動くもう一つの世界があるのだ。


 ある者は上司と喧嘩して無職になった顛末を面白おかしく書き綴り、ある者は二次元キャラクターとの新婚生活を克明に描写し、ある者はストーカー騒動に巻き込まれたことをユーモラスに表現していた。


 まだ高校生の自分にも想像が付く。この人たちは、たぶん世間一般的には「悲惨」と思われるような人生を送っている人たちだ。だけど、そんな人たちでも、ネットの中ではヒーローになっていた。


 年齢も、性別も、地位も関係ない。ネットでは、ただ文章が面白ければ、輝ける。


 現実世界では友達もあまりおらず、もちろん女の子とも話ができず、運動もできず、自分には何もないと感じていた少年にとって、その世界に憧れることは必然だった。
 猥雑で、面妖で、選民的で、その他この世のあらゆるドロドロしたものが詰まった世界だったことも、魅力の一つだった。


 そして、少年は先人に倣い、少しずつでも自分の妄想をテキストサイトにすることを始める。
 まず父親の契約していたプロバイダーから、空いているHPスペースを借用した。
 HTMLという言語の本を図書館で借りてきて、コマンドを写しながら手で打ち込んだ。
 『テキストサイト』文化の特徴は、「フォントいじり」と呼ばれる技術によって、フォントサイズや色を変更し、行間をたっぷり取って「間」を大切にすることだ。
 フォントの色を変える以上、背景は単色系などシンプルなものが好ましい。
 そうして数時間苦闘した末に、ようやくネット上から自分のホームページを初めて確認できた時には、涙が出るほど感動したものだった。


 構えたキャンバスは広大だ。
 だが、少年にとって、書くことはたくさんあった。
 現実には、つらいことがいくらでも押し寄せてきたからだ。
 つらいことがあればあるだけ、書くことはある。
 日常を、いかに面白おかしく表現するか。
 もちろん、最初は習作である。
 好きだったサイトのスタイルの模倣にすぎない。
 だが、少年はとにかく書いた。
 生きるために、文章を書き続けた。
 学校では、空気のような存在。いなくてもいい人。
 だけど、ネットの世界では確かに存在することができる。
 僕を見てくれ。僕の話を聞いてくれ。
 世界中のみんな、僕はここにいる。そう叫ぶように、キーボードを打ち続けた。
 誰かに楽しんでもらえるなら、自分の存在価値を生み出すことができる。
 そうやって、映画評も、漫画評も、音楽評も、偏ること無く載せた。
 書きたいという気持ちさえあれば、すべてがメインコンテンツだった。


 そのうち朧気ながらも自分のスタイルが出来てきたな、と感じられるようになった。
 オリジナルの小説なども載せ始めるようになり、掲示板に「面白かったです」、そんな反応でもたまにあれば、嬉しさに枕を抱えて転げ回った。
「新作出来たんで、よかったら読んでください」
「読みました! 面白かったです!」
 その繰り返し。
 だけど少年は、それで良かったのだ。
 そうしていつか、一つの人気テキストサイトが生まれた。


 少年の名前は、高浪栄太郎。


 これから語るのは、思い出すのも恥ずかしいような青春の話。
 花火のように燃え上がった、恋の話。
 そして何より、インターネットがまだ希望に輝いていたあの時代の話だ。

……ということで、今巻中、第二話の題材は「2001年頃のテキストサイト」になります。
テキストサイトを訪問するユーザーのアクセス数を燃料にして闘うヒーローの話とか、オフ会とか、フォント芸とかです。
『魂侍』『バーチャルネットアイドル・きゆ12歳』あたりが正しく変換できる方なら、きっと問題なくご共感いただけるかと。


そして、以上の文章でお解りかと思いますが、この章が中核を成す本巻は
私の人生と思い入れがぎゅんぎゅんに詰まった一冊となります。


Twitterでこんなことを書きました。

人生全部を込めた。
決して、これは過言ではないつもりです。


昔から現実に希望なんて持てなかった僕は、インターネットに生かされてきて、インターネットでずっと生きてきました。
中にはそれを暗い人生、つまらない人生と笑う人もいるかもしれません。
でも、僕にとってインターネットは、人生で何よりも切実なものでした。
だから3巻のオビのキャッチコピーは、僕が自分で作らせていただきました。


(写真:とらのあな秋葉原店A様twitter

それが『大事なものは、いつもインターネットの中にあった』です。
この本そしてシリーズ全体で、インターネットに対する思い、その全てをなんとかぶち込むことができたと思います。


なお、第二話は過去編ですが、もちろんその時代を知らない若い方にも、
僕たちネットユーザーが命を賭けて生きていた2001年のネット界隈(あの頃)、
若者たちがどんな思いを抱いていたのか、その断片に思いを馳せる材料として、お読みいただけたら嬉しく思います。


人間、いつ死ぬか解りません。
僕の敬愛する作家の一人である唐辺葉介先生も、『電気サーカス』というテキストサイト時代を描いた作品を書いてらっしゃって、
唐辺先生は「この話を発表出来たら、こんな商売もういつ辞めたっていい」とおっしゃっていましたが、
僕もやはり自分の人生を賭けて書き残す本があるとしたら、本作だったかと思うのです。


なので、僕が死んだら結構マジでこの本を一緒に墓に入れてほしいぐらいです。現時点では。間違いなく。
少なくとも、ここまで自分を開帳した本を出すことは、今後しばらくないと思われます。


僕にとっての青春、僕にとっての全て、「インターネット」。
それをこうして、大人になった僕が形として残すことができたことに、ガガガ文庫編集部様をはじめ、関係者そして読者の皆様に感謝いたします。


ありがとうございました。


なお、先ほども申しました通り、『天網炎上カグツチ』というシリーズ自体もこの3巻で一区切りになりますので、
まだ未読の方にも、ちょうどまとめてご購入いただきやすい長さになっているかと思われます。
ここまでの語りでご興味持っていただけたインターネッター同志がおりましたら、よろしく頼むぜブラザー。
3巻はテキストサイト以外に扱った題材としても、「ネットゲーム」の話とクライマックスを含んだり盛りだくさんです。
特にクライマックス辺りの展開は、個人的に最高傑作が書けたと思っております(自負)。

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ということで、インターネットを愛する皆様、『天網炎上カグツチ』、
よろしくお願いいたします。なにとぞ。
そして、僕を育んでくれたインターネットにも。改めて、ありがとうございました。