タケラムの「Echoes of the Eye」配信にコラムを寄稿しました

タケさんとラムさん(合わせてタケラム)という配信者のOuter Wilds DLC 「Echoes of the Eye」実況が完結したのを記念して、振り返り配信回にコラムを寄稿させていただきました。

以前のOuter Wildsクリア者向け記事で、ゾンビ入門動画の一つとしておすすめしていた配信者さんですが、ことDLCに至ってお見事という他ない完成度になったのでほんとおすすめです。ということを未視聴者にも伝えるべく賞賛を詰め込みました。

 

寄稿したコラムの文章はこちらです。

 

コラム『きみはタケラム配信に宇宙の特異点を見たか』
                 砂義出雲(作家)

 

「Outer Wildsゾンビ」という言葉がある。

これは、Outer Wildsというゲームの魅力に魂を引かれ、
ゲームをクリアしてしまった後もそのことを受け入れられず、
動画や記事を巡るようになってしまった哀れな生き物のことを指す。

 

なぜかOuter Wildsの記事が頻繁に載り続ける
「ねとらぼ」などの影響もあり、
近頃はこの言葉をインターネット上の思いも寄らぬところで
見かけたりするようになって驚くことがあるのだが、
実はこの言葉、インターネット発の言葉にしては珍しく
明確な出典がある。

それが、今回紹介する「タケ」と「ラム」という
二人の配信者によるOuter Wilds実況だ。

 

「Outer Wildsゾンビ」という言葉は、具体的に言うと
2020年11月28日、タケチャンネルのYouTubeライブ
『Outer Wilds 2人でプレイ#11』
その2時間12分34秒時点でラム氏の口から生まれた。

 

この「Outer Wildsゾンビ」という言葉は画期的な発明だった。

それは、終わってしまったゲームの初見プレイ感を取り戻そうと必死で
実況にしがみつく後ろ暗さや、「噛んだ」人間がOuter Wildsの魅力に
次々に感染していく様など、その言葉の語感があまりにも適切だったからだ。

言うまでもなく私もゾンビの一人なのだが、
我々ゾンビは名前を付けてもらうことによって
そこに明確な自意識が生まれ、人生が充実したと思う。
ゾンビの身としては感謝してやまない。

 

上記のエピソードからもわかるように、
「タケラム配信」の魅力は第一にその言語感覚によるものが大きい。

攻略においては「知のラム、技のタケ」などと
呼ばれるが、私に言わせてもらえば「言語のタケラム」だ。
この度完結したOuter WildsのDLC『Echoes of the Eye』配信
でもその言語感覚は遺憾なく発揮され、
「焼き屋」「マネキ」「爪兵器」などの言語感覚には
他の配信にないオリジナリティがあった。素晴らしいと思う。

 

そして、タケラム配信に私がもう一つ惜しみない賞賛を送りたいものは、
ゲームに対するアプローチだ。

ゾンビ的な観点からすれば、
Outer Wilds配信において一番嬉しいのは
Outer Wildsに対する「考察」「自分の考え」を
積極的に喋ってくれる実況者である。

その観点から見ても、タケラムのOuter Wildsに対する
アプローチ、積極性は群を抜いていた。
本編プレイ時から元々理解度の高かった
二人ではあるが、DLC編に入って二人の理解度は
幾何級数的に増加していた。

それは恐らく、タケラムの二人がお互いに
Outer Wildsを友人にプレイさせたりして、
自分たちもOuter Wildsというものへの理解と愛を
究極まで熟成させてからDLCをプレイしてくれたからだと思う。

その熟成期間を置いて満を持して行われた
タケラムのEchoes of the Eye配信には、
伝説のバンドが再結成するような一大イベント感があった。
例えるなら、セックスピストルズの再結成、
ビートルズゲットバックセッション。
ゾンビたちにとって、タケラムのEchoes of the Eye配信は
それらに匹敵する大イベントだった。

さらに、ここまでやるかとばかりにイラストを多用した配信前の振り返りは、
もはや美術品としても非常に高い価値を持っていると思う。
比肩するならば、「ダ・ヴィンチモナリザ」、「ミロのヴィーナス」、
「ラムの振り返りイラスト」である。
(これはラム氏が同人誌にして頒布予定であり、
何を差し置いても手に入れなければならないと思っている)

 

かくして、タケラムのDLC配信は最高のものになったわけだが――

良い実況配信というものが成立するためには
実はもう一つ大きな要素がある。
コメント欄だ。

自分もその一員だった身として言うのは少し面はゆいのだが、
タケラム配信が生んだ「ゾンビ」たちによるコメ欄は、あまりに美しかった。

数千人規模の配信や、Vtuberの配信などになると
コメ欄の治安はどうしても悪くなる。
だが、タケラム配信のコメ欄は、誤解を恐れずに言えば完璧に「ちょうどよい」ものだった。
過疎ということもなく、かといって統制が取れないということもなく、
まるで宇宙の特異点そのもののように、美しく、力強く煌めくものだった。

 

それは、タケラムの生み出した
『ゾンビ』という概念があまりにも的確に
我々の形象をかたどって、
ただ一つの念によって動いていたからに他ならない。

すなわち――こうだ。
これからプレイする人に最高の旅をしてほしい。
そして、最高の旅の一員に自分も加わりたい。

 

それだけのために集まった集団の、なんと感動的なことか。

かくして、完璧な理解度でゲームに臨んだタケラム、
最高の旅を見届けたコメント欄、
そして言うまでもなく我々を導いてくれたOuter Wildsという傑作ゲーム。

スターピースの実況者、マスターピースの視聴者、マスターピースのゲーム、
その三位一体によって、『Echoes of the Eye』の実況・決定版とでもいうべき
最高の実況配信が生まれてしまった。

その結果が、ラストシーンでのラム氏の慟哭につながっていることは疑いようもない。

 

自分もその最高の旅の一部になれたことを
誇らしく思うとともに、
Outer Wilds配信といえば「タケラム」と
これからも全人類にお勧めしていきたいと思っている。

ありがとうタケラム、ありがとうOuter Wilds。
願わくば、いつかまた別の宇宙で。

 

上記のコラムを寄稿させていただいた振り返り配信回を含むYouTube再生リストはこちら(振り返りなのでネタバレ注意)。

www.youtube.com

ファンアートの数がすごくて本当に愛されてる配信だなーと思います。

 

なお、コラムや動画内でも触れていますが、上記のコラムはラムさんが今夏発行予定のタケラムの軌跡を振り返る同人誌にも収録される予定です。ファンアートがいっぱい入ったOuter Wildsの同人誌ですよ。家宝にしなくていいんですか? するね、間違いなく。

一般流通はなくラムさんに直接連絡した方だけいただけるそうなので、Outer Wilds好きの方は間に合ううちにぜひタケラムの動画を観てタケラムにハマってラムさんに連絡など取ってみてください。

おすすめです。