『天網炎上カグツチ』1巻 SLN(セルフ・ライナー・ノーツ)(Twitter転載)

ネットネタ小説ということで、人によっては何かと解りにくい箇所のあるかもしれない作品の、コメンタリーというか解説みたいなものです。
Twitterにアップしたものを、保護のために一部修正の上、当ブログに転載しておきます。

天網炎上カグツチ SLN(セルフ・ライナー・ノーツ)
8/21
Part 1(P1〜80)

  • P11 L7 いきなりなんJ語です。ネットスラングを使った小説は近年多いのですが、この小説はもう「スラングをちょっと使う」レベルでなくテーマの一つにすらなりますので、1ページ目からあえてネットスラングを使っていくと決めていました。
    • なお、本作に登場するネットスラングは、元ネタがあるので風化しにくい、作者が野球好きである、などの理由によりVIP語などよりはややなんJ語が多めの傾向になっています。
  • P20 L2 基本的に多く敵を作りそうな小説ですので、本作はここ以外でも結構なところで巧妙に固有名詞を改変したり避けたりしています。まあ大人のアレです。
  • P28 L11 ここは初稿時のネタではアプリ名が『パズル&奴隷商人』で、略すと『パズドレ』になるというものでした。元ネタは言わなくていいですよね。シュールさが出たので、むしろ変えてよかったと思います。
  • P29 L3 我ながら、すげえ「俗物」っぽさの出た、いいセリフだと思います。
  • P38 L15 作者的にはドリフのジャンボマックスキン肉マンのビッグ・ザ・ブドーの組み合わせネタです。京子的にはなんとなく大きそうな固有名詞を言っているのでしょう。
  • P47 L10 こういうシュール気味な文章自体を持ってくるギャグは作者的にはあまり多用しないのですが、自分の中でライトノベルを書くときに「ギャグの傾向を偏らせない」というのを一つ意識していることがあります。時には、笑える笑えないより先にギャグを入れるのです。
  • P64 L8 主人公機の色を青にしたのは、赤だとまんまアイアンマンになってしまうしなあ、ということです。あと、エヴァの呪縛もあるかもしれません。いつまでも14歳なんだね。
    • (付記)なお、本作を書くのにアイアンマンの映画は何度も観まくった模様。アイアンマン大好き!
  • P72 L12 言うまでもないかもしれませんが、イメージはSiriさんです。Siriさん超かわいいというフェチが作者にはあるので、次巻以降も彼女が活躍してくれることを期待しています。

8/22
Part 2(P80〜145)

  • P92 L13 このアカウント名にしたのは単純な理由で、京子の誕生日が6月21日だからです。なお、作者手元の設定資料集によると、各キャラの誕生日は以下のようになっています。焔=5月24日 華蓮=9月3日 みょろきー=12月12日 桃香=10月15日
  • P93 L1 毒と風刺を入れまくった『そうおん!』周りのくだりは総じて気に入っているのですが、トゥーマッチ感のあるこの煽りが一番お気に入りのセリフの一つです。
  • P100 L10 よくわかりませんが、ルッコラの葉脈のことを言っていると思います。
  • P100〜101 この企画を立ち上げた時から、真っ先に書きたいと思っていたシーンです。そういう問題意識をどうしても入れたかったんですね。なお、この件はあきまん先生の図解が解りやすいです。
  • P102 この「火消し」、ヒーローもの史に残る静謐でかっこいいレスキューシーンになったと思っています。物理によらなくても人は救えるのです。炎上した時の京子のメンタルを考えるだに、「ああ〜、惚れちゃう、惚れちゃうよ〜」と自分で書きながら言ってました。
  • P108 L6 種書き段階ではここは「静脈キャッチ!シャブキュア」でした。変えといて本当によかった。
  • P126 L1 小中学生の子らはインスパイア元になった「小女子事件」でググってください。もちろんアレンジはしてますが。完全なフィクションにするのではなく、実在の事象をモチーフにする手法は今後も偶に使っていきたいと思っています。炎上は日常と地続きのものだからです。

8/23
Part 3(P146〜215)

  • P151 L1 フラク○ルのヤマ○ンですね。 L6 逃○中のドラド○鈴木ですね。 L11 西○の中継ぎですね。ちなみになんJ語では、炎上する中継ぎのことを「俺達」と呼んでいます。俺達になった人は熱烈歓迎○者と言って迎え入れるのがルールとなっています。
  • P159 悪役を単なるネット嫌いキャラではなく、こういうキャラ設定にしたのには意味があります。思い入れもあります。もしシリーズが続いたらいつか「彼」の時代のことも描けたらいいなと思っています。
  • P162 L2 モデルは江ノ島ですね。なお、焔くんたちの住む街は「K県Y市」となってますが、作者は神奈川県横須賀市出身なので概ね高校生活のことはその辺りでイメージしていると頭に入れつつ(横浜市でもいけますし)、ぼんやり首都圏っぽいイメージで読んでください。
  • P175 彼女が猫宮由希でなんで愛称がみょろきーなのかはいずれ書けたら書きます。みょろきーと桃香の描写に関しては、今回は尺の問題でスポイルした部分もあります。申し訳ない。
    • (付記)2巻でなんか書いとる模様
  • P183 L13 なんJを中心に、ベイスターズが戦っていると噂されているリーグのことです。ちょっと強引に入れました。
  • P184 L4 エモやんと呼ばれる某選手の名言です。これをきっかけに彼は引退しました。
  • P198 L5〜7 日曜日の夕方にいそうな三人組ですね。こういうどうでもいい名前ネタとかで大きいものに喧嘩を売るからすぐ偉い人に睨まれるのです。
  • P206 L4 メンタルの強さの指標に関して、『メンタルデュラビリティ』が最大HPで、『打たれ強さ』が防御力、という例えは我ながら解りやすくなったので、結構ギリギリだったのですが入れて良かったと思います。
  • P212 L2 きっとフルCGアニメで西田敏行がミュージカルする映画なのでしょう。(推定楽曲タイトル:『釣りのハマで 〜Let It Gattai〜』) こういうどうでもいい名前ネタとかで大きいものに喧嘩を売るから(以下略

8/24
Part 4(P215〜ラスト)

  • P217 L16 ロールズの正義論は現行版では分厚いのしかなくて本当は小学生が気軽に持ち歩ける本ではないのですが、その辺は優しいフィクションです。この作品はヒーローものの常である「正義」について考えることもおろそかにしないぞ、という意思表明のシーンでもあります。
  • P227 明らかに新生エオルゼアを意識したMMOですね。編集段階ではこのシーンをカットという意見もあったのですが、評判そこそこいいので入れて良かったと思います。ちなみに作者はエオルゼアPS4で嗜む程度、呪術士メインでプレイしています。ユーザー名は内緒です。
  • P244 L8 大半の方はスルッと流すところかもしれませんが、何故かこの「あっ、食い物ネタだ。」という一文が作者は大変気にいっています。「あっ、」じゃねえだろ、みたいな。じわじわ来ます。
  • P245 L3 以前、どう見てもご本人のものでないドへたくそな「とりやまあ○ら」先生の偽サイン色紙がヤフオクで売られていたという事件がありました。あのどう見ても本人でなさや傲慢さが作者的には微妙にツボだったので、ネタとして入れてみました。
  • P267〜 この辺りのシーンから、作者はもう書きながら泣いています。このメッセージが世界に一人でもいいから、まだ見ぬ誰かの勇気になってくれれば、必要としている誰かの胸に届いてくれれば嬉しいなと、それだけを願っております。
  • P276〜277 クライマックスです。僕が構図のラフとツウィート内容を50個ほど書いて、デザイナーさんに整形していただきました。さあ、もはや文字表現とかしてないぞ! 「最近のラノベ」とか言って叩くなら叩け! と思っています。
  • P276 なお、一部の方からはこの作品は炎上がぬるいというご意見もありましたが、基本的にこのシーンまでの炎上はあえて「ギャグ」として落とせるように意識しています。それは、炎上による「つらみ」のピークがここに来るように、という調整でもありました。
    • P276 ていうか、全編がこのレベルだったらそれはもう楽しく読めるエンタメじゃないでしょう。しかし、それでも最初から読むのが心抉られたという声も聞き、つくづく万人に合わせたバランスを取るのって難しいなと思っているところです。なのでまあ、次も好きにやります。

本編の解説終了。あと、全体で言い残したことです。

  • ネーミング

主人公の名前「匂坂焔」ですが、日本神話でのカグツチが「火の匂いのする神」なので、そのあたりからのインスピレーションで付けました。ヒロインはお察しの通り動物繋がりです。八雲先輩はなんかクラウドっぽい感じ。モブはベイスターズの選手名アレンジとかです。

  • アカウント

「homura_16」などがあるのはTweeterという架空のサービスなのですが、Twitterで誰か入れてみる人いないかな、入れて出たら嬉しいだろうなとか考えて、怪しげな隠しアカウントを用意してみました。誰にも気付かれなかったので暴露しておきます。

  • まとめ

とまあ、色々言ってきましたが、いつもの通りネタっぽい掴みでありながら、要するに不器用ながらこの小説には僕の世界に対する怒りも愛もアジテーションも魂も全てぶち込んであるのです。誰かさまの心に届けば、こんなに嬉しいことはありません。
あと、あとがきにも書きましたができれば続きを書きたいなあと作者は思っておりますので、無事続刊を出版することができました際にはまた是非よろしくお願いします。そのためにも、1巻の布教バンバンお願いしやす! なにとぞひとつ! それではカグツチSLN、これにて終了!

2巻でSLNやるかはまだ未定です。そんなにやらないかなー。

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