2012夏休み映画総括

今夏観た映画感想まとめ。備忘録程度。
独断と偏見だけなので、批判は受け付けてません。
品書き:「おおかみこどもの雨と雪」「ダークナイトライジング」「プロメテウス」「アベンジャーズ
一応内容隔離。

おおかみこどもの雨と雪

後半より、前半の何気ない日常パートの方が色々と泣きそうになること多し。
演出力や、美術、音楽など流石に凡百のアニメと比べると群を抜いていて、ジブリを抜かせばもう細田さんが日本アニメ映画界のトップブランドを確立したことを再確認しました。何より「育児」という難しいテーマを選び、大河ドラマのように一つの大きな転機まできちんと描ききったことに賞賛の念は止みません。
ただ、あちこちで言われてますが、花ちゃんが人間離れした「超越母性」すぎて、これが母のあるべき姿だとされるとつらくなる人も出てくるんじゃないかと。もっと理不尽でもいいのよ。人間だもの。
また、世界に悪意が少なすぎたこともファンタジー色を強めすぎる一因になっていました。もっとも、「ファンタジーすぎるから駄目」ということはなくて、後はノリが合うか合わないかの問題になってきます。ここら辺は、監督と僕との根本的な世界認識の差あたりに起因してるものなのでしょう。

ダークナイトライジン

結局のところ、「ダークナイト」が「奇跡の作品」すぎて越えることは出来なかったに尽きるかと。
やはりヴィランの魅力が、ジョーカーとベインとでは格が違うことを否めず、結果として作品の格もこぢんまりとしてしまった印象があります。あ、トム・ハーディの演技は良かったけど。やはりヒース・レジャーの不在は何より大きな損失だった……。
シリーズ全体として3作目をビギンズに繋がる(作風的な意味でも物語的な意味でも)円環構造にした理由はもちろん解るのですが、その結果確かに収まりは良くなっているものの、観客としてどうしても抱いてしまう『あの「ダークナイト」の衝撃を再び! ダークナイトを越えてくれ!』という気持ちに答えることはできなくなってしまった感があります。スターウォーズなり、バックトゥザフューチャーなりの、3作目で「ここまで来たか!」っていう作品のカタルシスに比べると、落ち着いた終わり方をしてしまうのは得策ではないかと思いました。
そして、ジョーカーのような突出した魅力がなくなった結果、恐らくは今までにも実はあったであろう「脚本のアラ」や「ご都合主義」が目立つことになってしまったことも不幸の一つですね。登場人物の行動原理の説得力で疑問を抱くことが多かったです。
それから、アメリカ映画全般に言いたいのですが、そろそろ核爆弾を「ちょっと強力な爆弾」みたいに描くのやめてくれませんかね……。ガンガン引き摺るなよ! 核爆弾を! 海に捨ててオッケーじゃねえよ! 放射能! 放射能

プロメテウス

賛否両論ありますが。まず、配給会社は予告詐欺をやめーい!
エイリアンシリーズ! エイリアンの新作ですこれは! エイリアン前日譚です! したがって、エイリアンシリーズのファンであれば当然感じられる「あ! その卵に触っちゃらめえええ」とか、「スペースジョッキーキターーーー!」などの楽しみを感じられないのは大変不幸です。エイリアンシリーズ未見の方は、せめて1だけは観ておきましょう。
脚本はめちゃめちゃであることは否定しない。自殺したがっているとしか思えないバカ乗組員たち。割腹しても平気で走れる主人公! フウーッ! でも……B級映画ってそんなもんやん?
この作品で見るべきものは、何よりまず重厚な映像美。そしてエイリアンシリーズ直系の世界観です。シリーズのファンとしては、それだけで割と満足してしまったので僕は何も言うことがありませんでした(割と物語作家失格)。

アベンジャーズ

アベンジャーズ・フウーッ!(そもそもスターク社長が出てくれば萌える時点でまともに観られてない)
実は僕、アイアンマンシリーズ以外の作品は未見で、キャラ設定もよく知りませんでした。それでもすんなり劇中でキャラ設定が飲み込めるように配慮がされていたので、脚本も良くできていたと思います。その上で各キャラの魅力を最大限に引き出し、きちんとそれぞれに見せ場を作るあたりマジすごい。作家としてかくありたし。
作品として事前に感じられる印象からの意外性があるわけではまったくありませんが、このお祭り感、鑑賞後の満足感は素晴らしいの一言でしょう。
鑑賞後に思わず「アベ、アベ、アベ、アベンジャーズ♪」という存在しない唄を口ずさみながら上機嫌で帰ってしまうほどでした。
特筆すべきはエンドロール後ね。席立っちゃだめよ。あのつまんなそうな打ち上げ! 最高だ!