チェブラーシカについて

チェブラーシカ [DVD]
チェブラーシカ [DVD]
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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2008-11-21)
売り上げランキング: 1689

チェブラーシカは好きだ。
元々はロシアのキャラクターで国民的人気を持っているのだが、キャラクターとして日本でもその姿を見たことがある方もいるかもしれない。
単純にその造形がクソかわいいのでそもそも好きなのだが、自分はやはりロマン・カチャーノフ監督のパペットアニメの印象が強い。
この一連のパペットアニメは、1969年から1983年まで、まだロシアが旧ソビエト連邦だった頃に作られたものだ。
ということもありストーリーが若干共産主義っぽかったり、意味不明で狂っている部分があったりもするのだが、それが逆に半端無い量の哀愁を漂わせている。
このチェブラーシカの殺人的な可愛さと、共産主義圏の閉塞感が同居する感覚は、他のアニメにはない唯一無二のものだ。
そもそもストーリーからして、サルや熊のようにも見えるが正体不明の生物チェブラーシカが、正体不明ゆえに動物園にも入れずに電話ボックスで暮らしていたり、動物園に「動物」として勤務しているワニが家では孤独のあまり独りでチェスをするシーンなど、多々キツいところがあり、その溢れる「ぼっち力」は、すべてのぼっち人間の胸を締め付けずにはいられない。(音楽がまたいちいち物悲しすぎて大変にヤヴァい)
ぼっち作品の系譜としてもその筋のぼっちの方々には是非鑑賞していただきたいものである。(どの筋だ)


そのチェブラーシカの数十年ぶりの新作を日本人が作ったそうだ。
http://www.cinematoday.jp/page/N0028454
が、既に観たファンからの情報では、共産主義の匂いが抜け、切なさや哀しさの排除された子供向けアニメになっているそうなので、たぶん観に行かない。
自分の中でのチェブラーシカは、不条理な社会の中で家もなく電話ボックスに住みつつ、独りぼっちの人間のために友達になってくれるけれど自分はおもちゃみたいに扱われることを望む哀しいキャラだ。
それでいいと思っている。