『センコロール』


池袋テアトルダイヤに「センコロール」を観てきました。


アフタヌーン四季賞を受賞した漫画家の宇木敦哉監督がほぼ一人で作った、30分の中編アニメ映画です。


まず、個人制作のアニメが商業ベースに乗るということに、大きな意義があると言いたい。
アニメが好きな人間として、新しいアニメ作家に光が当たるこういう試みはもっと増えていいと思うし、選択肢が増えることは喜ばしいことなので、いくらでも応援するし、カネも払う、むしろ払わせてくださいという態度です。


それを前提にして、尋常でなく一人で頑張ってるのもわかるし、好きか嫌いかで言えばかなり好きだし、監督の作品に今後も期待できるけど、単体で観て「傑作」クラスまでは行かなかったかなー、と。
良かった点と悪かった点がありますね。


そもそも、このセンコロールの発端になった「動画革命東京」というプロジェクトは、まずパイロット版のトレーラーを制作して、それを企業向けに公開して出資者を募るという仕組みになっているのだけど、このパイロット版のトレーラーがちょっと良すぎたので期待値が上がりすぎてしまったw

このトレーラーにあった、きりもみしながら急発進して悠然と腕を羽ばたかすセンコのカットとかがすごい好きで。
もっと、スピード感溢れながら飛行形態のセンコがビュンビュン飛んでビルとかドガーンと破壊したり爆破したり破片とかブリブリ飛んだり異生物同士がガチで戦闘したりするようなアニメだと思って期待してしまったのだけど、本編は若干テンポがゆるかったかな。


あと、話のつくりが「劇場映画」というよりは、「OVA第一話」といった感じの構成で、次作に続くような終わり方をしていたのだけれど、続きがいつ作れるともしれない「劇場映画」ということを念頭に置くなら、もう少し一作でまとまりのある脚本にしてほしかったような気がします。


そもそも、一人で作業しているのなら、動画枚数を売りにするのではなく、開き直って、中割りの枚数を抜いてでもダイナミックなアクションを見せてテンポをよくするとかしても良かったのではないでしょうか。
そう考えると『カイバ』4話で三原三千夫さんがTVアニメなのに一人で原画動画やってたのが神すぎたなー。あれは9ヶ月かけて5170枚でしたけどかなり動いてました。
その辺の力の抜き差し加減は、アニメーターとしてまだ成長する部分だと思いますので、次作以降に期待です。


で、良かった点は、世界観が面白い。
くどくどそれぞれがどういう生き物だとかの説明を省いたりしたのは、物語的の牽引力としても良かったです。
センコの変形するあたりの動画も力入れてますねー気持ちいいです。
あと後半で出てくるセンコの印象的な変形。
笑っていい所なのかシリアスな所なのかスレスレを行く感じは、ツボに嵌る好きなユーモアセンスです。
センコはキモ可愛いし、supercellの曲も良かったと思います。

飾ってあったぬいぐるみほしい。


やっぱり、イラストレーター及び漫画家、としてのアニメ作品の処女作ではありますが、アニメーションをどう魅せていくかというのは、これから、というところでしょうね。
とりあえず、宇木監督の次回作に期待ということで、DVDも買うつもりでいます。ていうかDVDもう来月に出るんですね。
がんばれ宇木監督!