「ロックンローラ」/ガイ・リッチー

http://wwws.warnerbros.co.jp/rocknrolla/
わざわざ恵比寿くんだりに単館上映、宣伝もほぼないというこの映画を観に行くような人間は、恐らく「ロックストック&トゥースモーキングバレルス」と「スナッチ」の2本によってガイ・リッチーに背骨をへし折られるような衝撃を受け、一生この監督についていくことを覚悟した人間が殆どなのではないかと思う。かくいう私もその一人でね。(ちなみに「ガイ・リッチー」を含む人気ブログ第一位)
それだけに、ここ最近のリッチーの傾向には失望した人も多かっただろう。嫁を使ってゴミのようなホームビデオを取ってしまった「スウェプト・アウェイ」、内面世界に踏み込みすぎてしまった「リボルバー」(尤も、マーク・ストロングの銃撃シーンなど見る点もあったので個人的には忌み嫌うほどではないが)。その結果が、今回ご覧のありさま(単館上映)だよ!
しかし、そんな人たちに声を大にして言いたい。
帰ってくる! 帰ってくる! 帰ってくる!
(ほっ ほっ ほっ ほっ)
ガイ・リッチーが帰ってきたぞ!
溜め息をつく暇もなく次々表れるカッコいいカメラワーク、やり過ぎと思えるほどの過剰な登場人物による群像劇が収束していくストーリーテリング、ブリティッシュセンス溢れ瀟洒だがちょっぴりブラックなユーモアセンス、怖くもどこか可笑しい独特のマフィア表現。
タランティーノともフィンチャーとも違う、この唯一無二の尖り方がガイ・リッチーなんすよ!
僕たちが待ってたのはこれなんだ!
と、こっちの方向に戻ってきてくれたのはいいんですが、さすがにブランクは否めないのか、中盤にちょっと中だるみするシーンがなくもないことと、最後のまとめ方に若干強引さを感じてしまったのは残念かな。いや、しかし、オープニングからやっぱめっちゃカッコいいんだ。あのテンションの高まりようには「お帰り! リッチー!」って叫びたくなったよ。
哲学的な表現も入ってきていい味を出したり、「リボルバー」を踏まえた上で、成長したガイ・リッチーというのを感じさせてくれます。
「ロックストック」「スナッチ」にあったがむしゃらな若さとエネルギーはもう超えられないでしょう。仕方ない。ですが、過去の作風に回帰しつつ全くの焼き直しではないのは、むしろ好感が持て、次回作にも期待できそうです。(欲目もあるかもしれんけど)
内容はもうハンサム・ボブ関係が面白くてしゃあなかった。ユーモアの面では、過去作で一番良かったんじゃないかと思います。ジェラルド・バトラーも流石の存在感で良かった。
頼むよガイ・リッチー君。映画界には君の代わりはいないんだ!
しかしパンフを見ると、この「ロックンローラ」、三作目までのお話を考えているそうで。このまま単館上映レベルで人気が出ないと日本公開も危ないぞ! ガイ・リッチーファンなら観に行こうね!