落下傘ナース/厘のミキ

これはひどい。(超褒め言葉)
フルスロットルきがくるっとる。
たまごまごさんのレビューとかtwitterでの評判を見て買ったのですが、自分が事前に想像してたものより遙かにヤバイ漫画だぜ、これはっ……!
というか、この漫画を無理矢理一言で漫画レビューサイトが紹介するとすれば「ヤンデレ」漫画とか「共依存」漫画とかになるんでしょう。(実際そう紹介されてるし)でも、そういう視点で見ちゃ駄目だよ。本質をちっとも表さない。これは一言で纏められる漫画じゃない。
確かに「ヤンデレ」漫画ではあるのですが、この漫画はここまでぶっ飛んだ発想を引っ張り出すための、あくまで「下地」として、ヤンデレを使用しているだけの気がします。というかそんな枠にはまらないほど狂っているだけなのですが。
だってヤンデレ漫画って、世界が「まとも」であると仮定して、その中に「病んだ」人がいるから成立する訳でしょう。しかし、『落下傘ナース』に関しては、世界観そのものが、もう狂気。登場する人物全てが病んでいる訳で、それはもうヤンデレ漫画ではないです、絶対。ただの狂った漫画であり、「ヤン作者」漫画です。
一般的に目を引くのは主人公男女がやはり狂っているわけですが、いきなり銃で撃ってきて「大丈夫です、これ自費ですから! 税金じゃないですから!」とかのたまう道行く警官とか、授業中に生徒を罵倒し始める教師とか、普通正常側にいなければならない人物までことごとく狂っているため、漫画としての世界観がどんどん不安になるいっぽう、それを見て、不謹慎ギャグ大好きの私なんかはウヒョ! おひょひょ! とほくそ笑むという構図でした。
だから、万人に薦められる漫画ではないです。どういう人にこの漫画をお薦めするかっていうと、稚気として狂気を宿している人、とでも言いましょうか。
GTAとかやって群衆の中にロケットランチャーぶっ放して大量殺戮してゲラゲラ笑える人とか、小学生の頃に教科書に載ってる偉人の写真の頭頂部から血を噴出させたりして遊んでた人、とかなら間違いなくオッケーです。
そういう人にとっては、実に素晴らしいギャグマンガです。
勝手な想像ですが、この作者の人もそんな感じの人種なのではないかと思っています(笑)
悪趣味だとか倫理的どうこうとか持ち出す人には決して薦めません。さらに言えば、ホラー映画を「怖い」として見るのではなく、嬉々として爆笑できる人の方が向いているような気がします。
しかし、そういうものが少しでも大丈夫な方には、是非味わって欲しい、近年稀に見るパンキッシュ感覚が溢れている漫画です。読んでいただければ、想像の斜め上を行くことは、確実に保証します。できることなら、このまま綺麗になんて纏まらずに、伏線とかすら回収せずに作者の興の向くまま突っ走って欲しいと思います(笑)