邦画オールタイムベストテン

今日が〆切だった! すべり込みズサー!


http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20081113
男の魂に火をつけろ!さんの企画「邦画オールタイムベスト10」に参加します。


自分はどっちかというと邦画より洋画の方を圧倒的に観てる人なので、どうなるのかと思いきや、それでも大変でしたね。10に絞るのは。とはいえ20だとたぶん枠を持て余したり情で入れちゃったりしてた可能性があるので、ちょうど厳選された邦画10本になったと思います。
映画に順位を付けるのがあまり好きではないので、採点は順不同でお願いします。

これは外せないよなあ。最強でしょう。こんな邦画、いや、映画界引っ繰り返してもこんな映画は他にない。なんだろうこのパワーは。奇跡か。ストーリーの予想のつかなさ、空虚なのに溢れ出す熱量、菅原文太ターミネーター化とか物語としての破綻すらもはや愛おしい(笑) 「原爆作っちゃったんだけど、何したらいいかわかんないんだよ」という空気感も、自分の琴線をビシビシ揺さぶってならない。いわば高度経済成長が終焉した時代のDEATHNOTE。すぐに悟りきって神を目指す主人公より、原爆でサッカーしちゃうような主人公の方がずっと僕には性に合っている。

僕は川島雄三信者です。で、川島雄三の代表作といえば『幕末太陽傳』ということになっているのですが、実は、こっちの方がすげえんです。たぶん、映画を撮ったことがある人や、数多くの映画を観ている人なら、この映画の凄さに気付くんじゃないかな。撮り方とか、構図とか、演出とかが、他の川島雄三作品、いや、他の数多くの日本映画と比べて、段違いにずば抜けています。『幕末太陽傳』はフランキー堺が60%を占める映画だからなあ。そして何より若尾文子のエロスは他の川島作品には存在しない要素で必見必勃起。しかし、前半30分何の脈絡もなく出てくる小沢昭一のインチキ外人とかの滅茶苦茶っぷりはしっかり川島っぽいので笑えます(笑)

そして、すまん。これは外せない。クロサワだからとかじゃなくて、単純に面白いんだもん。凄えんだもん。スケールだけなら、やっぱりいまだに日本映画で最高峰にある映画だと思います。かっこつけてこれを入れないことは逆に恥ずかしいよね……。あとキャラ立ちが半端ないので、みんなが想像するよりずっと観やすいと思います。誰派とかって言えるぐらいにね。厨と言われようが僕は久蔵スキーです。

ほんとはやくざ映画そんな好きじゃないんです。小市民だから。でも、これは入れざるを得ないんですね。人の命がゴミのようでもあり、それだけに輝いたり。狡猾に生き残るキャラとか、風車屋で撃たれるシーンとか、人間模様描写が素晴らしすぎますね。あと、超広島弁真似したくなる。「ええんですか! 呼びますよ! 自殺じゃー!」

邦画ベストオブカルト。カルトのベストってなんじゃいと思われようが観ればわかる。土方巽をベースにじっくりコトコト煮込んで美味い珍味にならないはずはない。そして「おかあさーん」、ラストの叫びは「シェーン」のラストの叫びにも勝る映画史に残る慟哭。感涙。爆笑(笑)

1カット目の満開の桜のカットから、既に児童向けアニメであることを放棄する美しさだった。「オトナ帝国」は、クレしんでありつつも大人の鑑賞に堪えうる、絶妙のラインでのハイブリッドを成した作品として評価される向きがあるのも理解できる。実際僕も枠が空いてたら入れていた。しかし、監督を辞することを決意してクレしんでこの映画を作ってしまった原恵一の壮大な切腹の前に僕は圧倒的にこれを支持せざるをえない。それに、巷で言われてるほど「クレしんでなくてもいい」とは僕は思ってません。クレしんであることによって、共感と笑いとドキドキを足すことができ、故に名作たり得たのです。だから実写でリメイクすんじゃねー! こらー!

前半までは普通の推理ものだが、終盤の展開から本番だ。あの反則とも言える親子の旅路に泣くが良い。宿命の重さを知るが良い。この時代だからこそ成し得たドラマ。重厚という言葉に相応しいドラマに、壮大な組曲が合わせ技で被さる。一本。

  • ポストマン・ブルース(1997、SABU

この監督にしか出せない疾走感とほのかなブラックユーモアと最後は反則とも言える力業で泣かせ、ほのかな余韻も残す。SABU作品の中でも最も単純にエンタテインメントとして完成されている。

宮崎マニアでもあるよ!
確かに宮崎駿はこれを作ったら引退したくなるよなあ。というほど彼の「本気」が、抜き身の刀を首筋に当てられているようにひしひしと伝わってくる映画作品。(ナウシカはまあ、漫画版があるしな) 子供に人気の作品を数多く作っていた宮崎さんのはずなのに、農民の腕や首が吹き飛んだ瞬間に、僕はこの作品で彼が「本気」で我々を殺りに来ているのだと気付き、歓喜のうちに身構えた。僕は「本気」で作られた作品なら、多少破綻してようが、酷く愛してしまうのだ。
その後、これで何かを一つ出し尽くしてしまった(と思われる)宮崎さんは、現在肩の力を抜いて幼女と戯れることによって、ある意味でもっと凄い狂気の超作品を撮ったりしている。その映画をランキングに入れても良かったのだが、今回はやめておいた。もうちょっとこのまま幼女と戯れさせてあげよう。

日本映画で過去最も笑った作品であり、三谷幸喜がへんに映画監督として上手くなる前の作品でもある。それ以後も悪くはないのだが、ちょっとワイルダーなりへの傾倒が度を過ぎたり小手先が上手くなったりして彼の「原液」を飲んでる感が薄れてる気がするのでこの作品の方が好きと言わざるを得ない。



10本のまとめ

太陽を盗んだ男(1979、長谷川和彦
しとやかな獣(1962、川島雄三
七人の侍(1954、黒澤明
仁義なき戦い (1973、深作欣二
江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間(1969、石井輝男
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大作戦(2002、原恵一
砂の器(1974、野村芳太郎
ポストマン・ブルース(1997、SABU
もののけ姫(1997、宮崎駿
ラヂオの時間(1997、三谷幸喜) (以上、順不同)

というわけで、うちのブログからは以上の10本です。ま、厳選しすぎてるだけにぶっちゃけ気分でいつ変動してもおかしくないランキングなんですけどね。それに、まだ観てない邦画の名作とされる作品が多々あるので、それを観るのが楽しみでもあります。id:washburn1975さん、面白い機会を有り難うございました。集計大変そうですが頑張ってください。