ダンサー・イン・ザ・ダーク

ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]

ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]

病床で具合が悪かったから病人らしく映画でも見ようと思って観たらさらにどんよりしたよ! ま、狙ってやったんすけどね! やったね!


鬱映画として映画界でも1,2を争うほど有名なやつを今更。
何故鬱映画かと言えば、観ればわかりますね。勧めないけど。
ただ、個人的には非道と言われようが、ちょっとこの主人公は自業自得なんじゃね? と思ってしまった。
そして、自分は普通にグロ動画とかを見るのが好きなくらい趣味が悪い人間なのでラストも「ウホッ!」でしたけど、嫌悪感を抱く人間が大多数なのは理解できる。いや、一般的にはね。


とはいえ演出として色々斬新な点があり、それが単なる鬱映画の枠にこの作品を留まらせてはいない感があります。
ミュージカルというものに対して、「日常生活で突然歌って踊り出す人なんているわけないでしょ」という、これはタモリさんも言ってたことで、まあ全くその通りだと僕も思うんですが、そういう風にメタ視線を植え付けておいて、こういう扱い方をするのかと非常に面白かった。現実と虚構のメタなんか僕もめっちゃ使うからなあ。カメラワークとか、照明の使い方とかにも、関心した。実に仕事が丁寧だ。鬱シーンとの対比で素晴らしいシーンなんか作っちゃってな。実に非道だ。


まあ、それでも、投稿レビューサイトを見ると、「映画は娯楽だから」、という理由でこの映画の評価を低くつけるようなものが結構あって、それも違うんじゃないかなあ、と思ったりはした。
そういえば昔、映画イベントの打ち上げで、真剣に映画を作ってるという同世代の人に、僕の作った映画のことで、「それで観た人を不快にさせて何の得があるんだよ!」と問いつめられたことを思い出した。
確かそれには「いや、まあ作者がそうしたいんだからいいんじゃない?」みたいな反論を伝えたと思う。
ま、僕は自分もまたベタを望む観客の一人であるからそんなに逸脱はしないとは思っているんだけど、損得や倫理を無視して、最終的に作者の意志(あるいはそれを超えた、作品自身がそうなろうという意志)で作品は作られるべきだという思想は当時から変わってないな。