『どろぼうの名人』/中里十

どろぼうの名人 (ガガガ文庫 な 4-1)

どろぼうの名人 (ガガガ文庫 な 4-1)

百合ん百合ん小説。
「普通に」面白かった。でも「めちゃめちゃ」面白くはなかった。
というか百合に対して思い入れがあるかどうかで評価が変わるでしょう。百合好きの人は読んで損はない。ただ僕は百合自体はそんななので。
唯一「魍魎」の加菜子頼子の関係性には萌え狂えるのだけど……この小説の百合がイマイチだったのは何故かって考えると、歳の差百合があまり好きではないのかもしれないな。
やー、僕が萌える百合ってのは、男性性を嫌悪している「少女」二人が彼女達だけの世界に逃避行するみたいなシチュエーションだけなんだな。
それはさておき。
読ませる文章力はかなりあると思います。平易な語彙を使ってなくても、すんなり読めたのは地力でしょう。
ただ、主人公の心情の変化はやや唐突だった感。ちょっとびっくらした。
それと、淡々と進んで、最後に小山の盛り上がりぐらいで終わるこの構成には賛否両論あるかもしれない。僕はどうしても物語にケレン味カタルシスなんかを求めてしまう人間なので合わなかったところもあるのかな。
百合自体に萌え狂える人なら。あ、イラストはすごく良かった。