リボルバー/ガイ・リッチー

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映画館鑑賞@川崎109シネマズ


「ロックストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」「スナッチ」で世界に名を馳せたガイ・リッチー監督最新作……
のはずが、なんだこの盛り上がらなさは。cinemascapeにも未だに登録すらされておらず、映画館では数百人入れそうなシアターに数人しか入ってませんでした。
なんだよみんなガイ・リッチー好きじゃなかったんかよ!
と憤りつつ、観て、んんー、と複雑な気持ちにはなる。
確かに、ちょっと内省的という評判を聞いてはいたのですが、前述の映画二本のポップなバイオレンス映画を期待して行くと、これは詐欺に等しいかもしれません。「えらい」内省的。
ですが個人的には、そういう自我に悩んだり分裂しちゃったりする映画もどストライクではあるので、心構えがあって観に行けば、全然オッケー、許容範囲ですよ。
それに全く徹頭徹尾内省的な訳でなく、冒頭のスピード感にはほんと胸が躍ったし、後半にある銃撃戦では、ああ、これぞガイ・リッチーの宝石箱やっていうぐらいの完璧な昂揚を味わえます。そのシーンだけでも映画館に行った価値は十二分にありますね。
ただ、アニメを入れたり、シュールな精神世界の描写に踏み込んだり、「難解」で売りつつ実はまったく単純な構図だったりして、この人はタランティーノになりたいのかデヴィッド・リンチになりたいのかアート系で売りたいのかという中途半端さは否めません。そんでもって、自我と格闘するシーンとか観ても、底の浅さを感じるっていうか、「健常者が想像する想像の範囲中な精神分裂の描写」を全く抜け出ていない感じがして、そんなレベルだったらこっちに踏み込んでくる必要ないから、オシャレで暴力的なエンタメ映画ばっかり撮っていてほしいなあ、と思ってしまった次第でありました。
ガイ・リッチーもなにか煮詰まっちゃってるのかなあ……だが殺し屋のシーンのカメラ割りは本当に良かったぞっ。次回作に期待してる。
役者の演技は完璧。特にレイ・リオッタは圧巻で、パンツ一丁で醸し出す存在感とか、発狂する演技一つ取っても桁が違う。というか、これで役者の演技が酷かったら目も当てられなかっただろうなあ。