- 作者: よしながふみ
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2004/04/01
- メディア: コミック
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やー、これは傑作……。
ギャグは面白いし、青春群像劇は「ハチクロ」に、オタクの生態観察は「げんしけん」、漫画制作の酸い甘いは「G戦場ヘブンズドア」とかに通じるものがあって、上記の漫画のファンにはお薦めだぜ。
ただ、あれで完結じゃなくてもうちょっと続けられたんじゃないの的なモヤモヤがなくもないけど。
いや、春太郎の物語はあれで良いと思うんです。作品が「フラワー・オブ・ライフ」をテーマにしているのなら、花盛りの時期だけ描写するべきで、その後の生死とか後日談とか描かれても蛇足だと思うのですが、真島の物語はあれで終わりでいいのかと……。ラストカットがあれってどうなの?
そしたら、この記事が割とそこに触れてて慧眼だった。
さて次の企画は - 95年エヴァンゲリオン文化圏の終わり――知的な塹壕としての「ゼロ年代の想像力」スタートと、よしながふみ「フラワー・オブ・ライフ」完結について
http://d.hatena.ne.jp/otokinoki/20070531/1180589181
「フラワーオブライフ」は1年という短いスパンで描くことで、「リセットの効かない時」を描写したワケだが、1年というスパンでは真島の成長までも書ききることは不可能だったのだろう。
これは連載をもっと長くすれば良かったと言うよりも、逆に「1年では真島の成長を描ききれない」と暴露することによって、真島に象徴される男オタクのもつ病自体の重さを逆説的に描出していることに成功している。これは非常に面白いと思う。
はー、そういう考え方もありますか。
しかし、真島の成長に関しては、個人的には真島とシゲ先生をあと1ページでも絡ませればそれなりに収束させられたと思うのですね。たぶんあの二人にあと1ページでもいいから絡んでほしかったのはおれだけじゃないはずだ。ていうか、シゲ先生まわりの人が痛々しくて……。完全によしながふみの計算だと思うのですが、それを客観視させるのは、いや凄いな。特に「うわぁ、これすごいナリ……」と思ったのが「あたし…っ、織田裕二を選んだの…っ!!」と言う。あの台詞は最強ですよ。全てが凝縮されてる。たぶん、あの辺の人たちは今後の人生でも幸せにはなれないような予感がするのですが、でも傷付いても藻掻いてもいいんですよ。それがフラワーオブライフなれば。その辺を、もうちょっと、伝えて欲しかった気はしますね。
ちなみにあの作品を読んで真島のような男を理想とか言っちゃう女性がいたらきっと人生苦労するぜ! あんな男現実には居ないからな!
そして多分自分があの世界に居たら、あの仲良いグループを傍目に見ながら鬱々としてるモブキャラになってんだろうな。私のフラワーオブライフはいつですか。