第八回萌理賞・文章部門 -『恋はリーダビリティの外!』

http://q.hatena.ne.jp/1171125033
久しぶりの萌理賞
今回も出しましたです。


投稿作品
『恋はリーダビリティの外!』

図書室に本を返しに行く途中で、
廊下の角から長い黒髪の少女がまろび出てきた。
「あれ? ええと、柊野(ひらぎの)……さん?」
息せき切らしている。
「柊野加奈よ。覚えておきなさい。フフ……それより、今からその本を返しに行くみたいね? フ、フフフ……」
加奈は、胸ポケットから栞を抜き取ると、少年が持っている本に向けて投擲した。
「リーダビリティ、発動!」
「わっ!」
少年が持っていた本が、綴じ目からバラバラと解け、紙片が竜巻のように少年の身体を取り囲む。
「これが二年間で私が身に付けた文芸部の『部活特技』! <リーダビリティ>は、その図書の持ち主のことを『読む』ことが出来るのよ! そう、例え貴方の心の中身でさえね!」
「借り物の本が!」
「それによると、貴方は――私のことを、只のクラスメイトだと思っている――え?」
途端、力を失った紙がパタパタと床に落ちていく。
「こ……この甲斐性なし!」
加奈は踵を返すと、泣きながら走り去った。後に点々と残る涙の雫。
「何なんだろう、柊野さんって」
「活版いんさつーーーーーーー!」
グーテンベルクが彼女にとっての神である。


あとがき

  • 萌理学園では部活に通うことで「部活経験値」を得ることが出来ます。

そして「部活レベル」を上げることによって、それに応じた「部活特技」を身に付けることが出来ます。


まあ、身も蓋もない言い方をすれば
FF5FFTで「ジョブポイント」を溜めて「アビリティ」を覚えるようなものです。


今回の「リーダビリティ」は「文芸部」レベル3の部活特技。という設定です。
皆さんもこの設定、どうぞご利用ください。

  • 今回もまた名前決めに逡巡した。

書物に関係ある名前にしようとは思っていたのですが、
本尾つづる(本を綴る)とか熊沢あおい(「くまざわ書店」と「あおい書店」から)とか、
しょうもない名前しか出てこなくて、ショボーン(´・ω・`)
福路綴(ふくろとじる)なんてのもあった。男の名前ぽいよ。


「柊野」が出てきたときはやったと思った。
これはヒラギノという書体があってですね(ヒラギノ明朝、ヒラギノゴシックetc)、かな文字が綺麗に印刷できます。
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/otffaq.html
そして、自分で書いといて手前味噌ですが早速柊野さんに萌えて仕方がありません。
フリーシェアですから共有可の世界です。
皆さんも早速「ひらぎの」で辞書に単語登録してください。
そして僕を萌えさせてください。これは儚い希望。