第七回萌理賞 -『BLOOD SCOOP ARMYGIRL』

http://q.hatena.ne.jp/1166356602


今月も参加しましたよ。
作品内容とあとがきは続きを読むで。

『BLOOD SCOOP ARMYGIRL』


一度戦場で見ただけの彼女の姿が、脳裏に焼き付いている。
小銃を片手に無様に突進する僕の横で、一陣の風が起こった。
矮躯の少女が傍を走り抜けていったのだ。
彼女が手にしている武器を見て僕はその光景に目を疑う。
何故ならそれは――
「しゃもじ?」
しゃもじを手に闘う女兵士が居るとは聞いた事があった。
だが、目の前に居るのは、まだ何処か幼さの残る、細腕の少女である。
軍服の少女は戦地を軽やかに疾駆し、しゃもじを薙ぎ、鮮やかに敵兵を殺戮していった。


炊事場。夜遅く、飯盒の前に座って一人飯を食べる。同僚は悉く例の場所だ。
気がつくと目の前に彼女が居た。
「お前は慰安所に行かないのか?」
「ああ」
「女に興味は無いのか?」
「人を殺そうって時に抱く気になれないだけさ」
「面白いな、お前は」
と言うと彼女は僕の隣にすらりと座り――甘い香りが鼻腔を擽った。
「私にも魅力を感じないのか?」
その秀麗な表情で言われたら流石にどぎまぎしてしまう。
「ぇ……あ……」
どう返して良いものやら言葉が出ない。
「そうか。じゃあ私は斥候にはなれそうもないな。まあ、飯でも食え」
すると、彼女は、血に塗れたしゃもじで米をよそってくれるのだった。
盛り過ぎだった。

ということで選んだテーマは「軍人」です。
オリジナリティをどこに追求しようかな、と考えた結果、武器だ! と
しゃもじを武器に戦場を駆ける少女が生まれました。
でも投稿後に「しゃもじ」「武器」でググると二万件近くヒット。げんなり。


で、シーンを考えてみたんですが、どうしてもシチュエーション的に
「しゃもじによる戦闘」と「しゃもじでご飯をよそってくれる」
どちらのシチュエーションも捨てがたい。どうしてもワンセットで書きたい……と
無理矢理段落を分けてまで二シーン書くことに。相当四百字でまとめるのに苦労しました。
削る削る。べガの強サイコクラッシャーアタック連発が如く(スト2で格ゲーが止まってる人間)削る。
結局五百字近くで限界。くっ。もう鼻血も出ねえよ。