怪 -ayakashi-

今期のクールで一応見ているアニメに「怪 -ayakashi-」がある。
サブタイトルに「JAPANESE CRASSIC HORROR」とあるように、日本の名作怪談講談をアニメでやるというその昨今の萌えアニメ需要完全無視な潔さっぷりに男気を感じて毎週見ている。その試みが成功しているかは知らない。多分大失敗だろう。
いい評判を寡聞にして全く訊かない。そもそも「ハチクロ」や「パラダイスキス」の後枠にこれを持ってきてしまったのが最初の失敗の原因だと思う。
四週(一ヶ月)で一つの作品を消化するという事で、こないだは「四谷怪談」の回の最終回だった。ちなみにこの回の原画家は、FFなどでお馴染みの天野喜孝さんだ。基本的に僕は天野喜孝さんの絵に思わず見とれてため息を吐いてしまうほど大好きなのだが、今回のアニメ化にあたっては、タツノコプロ作品のようにキャラデザインに徹するのでなく、天野さんの繊細な線描で出来た絵を無理矢理黒線で縁取りし、その上時折この世ならざる幻想的な色彩感覚を見せる氏の淡く絶妙な色遣いが、どう考えてもwindowsの「ペイント」の絵の具ツールで塗り潰したとしか思えない単色(原色)でベタベタに染められており、少し悲しくなった。

検証(左が天野氏の絵で、右がペイントで塗られたと思われるアニメキャラ)
amano



そして話の方も、最終話に来て画期的な展開を見せた。
普通に四谷怪談を進めてきたのに、最終話の前半で伊右衛門が死に、後半は「鶴屋南北が語る四谷怪談」という事で実写で「お岩ゆかりの神社」の映像を出したりと、とにかくNHK大河ドラマの後にやる「新選組がゆく」とかみたいな時間つなぎ番組が本編中の大部分に挿入されていた。ちょっと驚愕した。
そしてそれがアニメよりためになったのがまたちょっと悲しかった。

しかし、来週からはなんと当邦きっての幻想文学泉鏡花氏の名作妖怪戯曲「天守物語」のアニメ化が始まるらしいので、まず間違いなく見ずにはいられないだろう。原画家と監督も替わるらしいし。
(HPより)「見なければ良かったと…   聞かなければよかったと…
それでも観ずにはいられない。   恐怖と戦慄のストーリー」
半分コンセプト通りになりました。